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｢
｢善逸、大丈夫だよ。この山にいるのは確かなんだし。｣
めそめそ、と泣く善逸の背中を俺は優しく撫でる。
｢どこ行ったんだよー、俺が悪かったよー。｣
｢善逸は悪くないよ、それにほら俺がいるから。｣
泣き続ける善逸を、俺は抱きしめる。
善逸も、俺の隊服を掴んでいた。
そんな善逸の頭に、小さな雀が止まった。
｢チュン！｣
｢チュン太郎？｣
体を離した善逸が、頭の上を見ようと上目遣いになる。
けれど、うこぎは善逸に言われたことが気に入らないのか、分からないが機嫌は悪そうだった。
そんな事は露知らず、善逸はうこぎを手のひらの中へ納めた。
｢俺を追いかけてきてくれたのかー！？可愛い奴だなぁー！禰豆子ちゃんの次だけどなぁー！｣
雀の悲鳴が響く。
善逸が涙しながら、雀に頬ずりしているからだ。
｢俺が悪かったよぉ！チュン太郎も禰豆子ちゃんを、探しに行こう！｣
｢良かったね、善逸。｣
｢うんっ！うんっ！｣
こんな禍々しい山の中で、嬉しそうに涙を滲ませて微笑む善逸が可愛くて。
また、俺の音が乱れる。
───
相変わらず善逸とうこぎは、禰豆子を探している。
俺は、そんな善逸を守る為に着いて歩いてるだけなんだけど。
｢どこ行ったんだよ〜、炭治郎〜、伊之助〜。こんな恐い森の中、歩かせるなよ〜。｣
｢俺がいても、恐い？｣
｢恐いの！紫音がいてくれるのは、ほんっと心強いけどもっ！恐いんだよっ！｣
眉間に皺を寄せて、眉尻を下げた善逸が俺にそう強くいう。
その後ろで、ガサガサ、と音が鳴った。
それに驚いた善逸の声で、周りの木々に止まっていた鳥たちが一斉の飛び立った。
｢なんなの…？｣
｢たぶん、小動物…かな？｣
｢そんなの分かってるよっ！なんか…段々腹たってきた。早く禰豆子ちゃん見つけて、こんなおっかない森からおさらばしようっ！ねっ！紫音！｣
｢善逸がそうしたいなら、俺はついていくだけだよ。｣
｢ありがとう、俺と禰豆子ちゃんの為に。｣
違う、と否定出来たらいいのに。
遅れるのはまずい、と少し離れてしまった善逸の背中を俺は追いかける。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月1日 18時
