27´ ページ30
変な音がする。
気持ち悪くはないけど、聞いたこともない音。
なんの音だろう、って考えてたら紫音の音が聞こえてきた。
｢紫音…？｣
｢あ、
｢…笛の音、聞こえたから。｣
｢耳のいい善逸には、うるさかったかな。｣
窓を閉めて、俺の隣の布団に座った。
｢ううん、大丈夫だよ。うるさくなかったけど、気になったから。｣
なら良かった、って安堵してた。
ゴロリ、と寝返りを打って、俺は紫音の方に体を向ける。
俺の方向いて胡座かいてんの？
…見えるって。
いや、付いてるの同じものだけどさ。
｢何、してたの？｣
｢手紙、出してた。｣
｢……まさか、恋文？｣
炭治郎と禰豆子ちゃんの事もあったから、俺は紫音をじとぉ、って見つめる。
｢もし、そうだよって言ったら善逸、どうする？｣
｢っ…粛清するよ！？｣
｢ジョークだよ、ジョーク。いないよ、そんな相手。師範に、現状報告の手紙出してただけ。｣
嘘の音だ。
どれが嘘？
そういう人がいないってこと？
それとも、現状報告の手紙はやっぱり恋文って意味？
分かんないって。
｢じょうく？…てか、それ手紙って言うの？報告書じゃない？｣
｢あぁ、
｢れ、れぽおと？？紫音って、たまに分からない言葉使うね。｣
｢親と外国に行ったりしてたからね。ジョークは冗談、レポートは報告書、だよ。｣
やべ…眠くなってきた。
でも、まだ話してたいから相槌を打つ。
｢紫音は…なんで、鬼殺隊に入ったの？｣
｢外国から帰ってきたその晩に、親が鬼に喰われて俺は師範に助けられた。それで、鬼殺隊に入った……もう四年も前のこと。隊士になって、三年目…だったかな。｣
｢三年も…そんなに小さい時から…｣
何か言ってるけど、俺はもう限界で瞼が引っ付いたまま剥がせなくなった。
もっと、話したかったのにな。
……なんで、
それにしても、禰豆子ちゃん可愛かったなぁ。
ほんと、炭治郎は粛清しないとだよ。
何のために紫音が血を流したか、分かってない。
……紫音も、箱の中に鬼がいるって分かってたから禰豆子ちゃんの為、だったのかな。
…禰豆子ちゃん、可愛いし。
紫音から聞こえる"好き"の音。
それは、禰豆子ちゃんなのかな……
なんで、こんなに胸痛いんだろ……
俺、肋折れてないのに……
痛いなぁ…
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月1日 18時
