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静かになった部屋で俺は、そっと窓を開け竹笛をピロロロロ、と吹いた。
少しすると、静かに俺の鎹梟の紫衣奈がやってくる。
「休んでた?」
「平気ヨ?ドウカシタ?」
「師範に、手紙お願い。」
「ワカッタワ。」
紫衣奈の足に手紙を括り付け、頭をひと撫ですると目を細めて身を任せる。
気が済んだ紫衣奈は、静かに飛び立つと月明かりに背負って遠ざかっていった。
「紫音…?」
「あ、
「…笛の音、聞こえたから。」
「耳のいい善逸には、うるさかったかな。」
窓を閉めて、善逸と炭治郎の間の布団に座った。
「ううん、大丈夫だよ。うるさくなかったけど、気になったから。」
なら良かった、とホッとして小さく息を吐いた。
ゴロリ、と寝返りを打ち、善逸は俺の方に体を向けてくる。
「何、してたの?」
「手紙、出してた。」
「……まさか、恋文?」
寝る前に炭治郎と禰豆子の事があったからか、善逸は俺をジトリ、と見てくる。
「もし、そうだよって言ったら善逸、どうする?」
「っ…粛清するよ!?」
炭治郎を追いかけ回してた時の、善逸が目の前にいた。
「ジョークだよ、ジョーク。いないよ、そんな相手。師範に、現状報告の手紙出してただけ。」
嘘。
俺の目の前にいる。
「じょうく?…てか、それ手紙って言うの?報告書じゃない?」
「あぁ、
「れ、れぽおと??紫音って、たまに分からない言葉使うね。」
「親と外国に行ったりしてたからね。ジョークは冗談、レポートは報告書、だよ。」
へぇ、と眠そうに瞬きしながらも、善逸は相槌を打っている。
「紫音は…なんで、鬼殺隊に入ったの?」
「外国から帰ってきたその晩に、親が鬼に喰われて俺は師範に助けられた。それで、鬼殺隊に入った……もう四年も前のこと。隊士になって、三年目…だったかな。」
「三年も…そんなに小さい時から…」
「小さくもないよ、今二十だから………って、寝ちゃった。」
俺の方を向いたまま、スヨスヨ眠る善逸。
怪我をしていないとはいえ、心は疲弊してるんだな、と思った。
俺も布団の中に入り、炭治郎に背を向けて目を閉じる。
静かな部屋でも、俺の耳には音が届く。
俺の音も、君に届いてるのかな…
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時