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俺が手紙を書き進めている後ろで、炭治郎が伊之助に鬼殺隊入隊の経緯を聞いていた。


「何かきっかけはあるんだろ?」

「鬼殺隊の隊員って奴が、俺の山の中に来やがったから力比べして刀を奪ってやった。」

「…That's what bandits do.(それ山賊のやることじゃん。)


そう異国語で呟くと、俺と同じようなことを思っていることが善逸と炭治郎から聞こえた。


「あ゙ぁ゙?」

「それで?」

「そしたら、最終選別ってのがあることや、鬼の存在について聞いてよぉ。」

「それで伊之助は、鬼殺隊に入ったのか。っていうか、伊之助も俺と同じ山育ちなんだな。」

「お前と一緒にするなよ。俺には親も兄弟もいねぇぜ。」


なるほど、何らかの事情で捨てられ野生動物に育てられて嘴平伊之助(こんな野生児)が出来上がったのか。
そうかそうか、と炭治郎は泣けてきたらしい。


「炭治郎…誰も聞かないから、俺が聞くけど。…鬼を連れているのは、どういうことなんだ?」


俺も伊之助も、気になっているからか口を挟まず炭治郎の応えを待つ。


「善逸…鏡月さんも、分かってて庇ってくれたんですね。善逸は本当に良い奴だな。鏡月さんも、ありがとうございます。」


善逸は褒められたのが嬉しいのか、顔を赤くして布団の上でのたうち回り出した。
そんな善逸が可愛いと思う俺と、俺の言葉でそうなったのではない事実に目を逸らしたくて卓の上の手紙へ戻した。


「俺は鼻が利くんだ。最初から分かってたよ。善逸が優しいのも、強いのも。」

「いや、強くはねぇよ?ふざけんなよ?お前が正一君連れていくの邪魔したのは許してねぇぞ。」


そこまでノンブレス。
卑下する善逸に、強いよ、とは言わない。
その時、部屋の片隅に置かれていた箱からガタガタと音が鳴った。


「うわっ!うわっ!えぇ!?出てこようとしてる!出てこようとしてるっ!」


箱の中にいるのが鬼だと言うことを知ってるからか、善逸は慌てて俺の背中まで避難してきた。
大丈夫、と炭治郎に言われるが、どう大丈夫なのかも分からず、善逸は時間を考えずに騒ぎ出す。
箱の蓋が開くと、善逸は叫んでしまった。


「守ってー!俺を守ってー!伊之助でもいいからー!」

「こっち…来んなっ!」


伊之助の方へ走った善逸は、顎を蹴りあげられ箱の前に蹴飛ばされた。


「伊之助…何してる。」


善逸が蹴られたことに、俺は威嚇と言わんばかりに顔横に拳を振り落とした。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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