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ウィステリアの家紋を掲げる家は、過去鬼狩りに命を救われた一族だ、と教わった。
完全なるボランティアであるにも関わらず、鬼殺隊員が訪問すると寝食の世話をしてくれる。
怪我をしてればドクターも呼んでもらえるし、頼めば任務に必要な物も提供してくれる。
イージーに言えば、鬼殺隊の良き支援者だろう。
門前で話をしていれば、門が開き中から小柄な老婆が出てきた。
｢はい。｣
｢夜分にすまない、鬼狩りだ。｣
善逸がお化けと怖がり、伊之助がなんだてめぇ、と詰め寄るがその老婆は動じない。
｢善逸！伊之助！やめろ、失礼だ！｣
｢連れがすまない、悪気はないから許して。｣
｢左様ですか…どうぞ。｣
家主に中へ通され、先頭を俺が歩く。
善逸は家主の足の速さに驚き、伊之助は物珍しいのかチョロチョロキョロキョロしてた。
寝泊まりする部屋を開ければ、既に寝衣が人数分用意されてたり。
着替えが終われば、食事が。
｢妖怪だよ！あのばあさん、妖怪だ！速いもん異様にっ！妖怪だ！妖怪ばば｣
善逸が人を悪く言うのを止める為に遮るように振り上げられた炭治郎の拳を、俺が手首を掴んで止める。
｢炭治郎、やめて。善逸も、そういうこと言っちゃ駄目だよ。｣
｢ごめん…｣
｢分かればいいよ、善逸。｣
しおれたたんぽぽみたいにしゅん、とする善逸に微笑んだあと、掴んだままだった炭治郎の手首から手を離す。
もちろん、ひと睨みをプレゼントしたよ。
｢箸使えよっ！｣
素手で食べ物を口へ運んでいる。
あとで食べようとしていたのか、炭治郎が取って置いた天ぷらをあろうことか横取り。
それを見ている善逸は、引いている。
｢そんなにお腹が空いてるなら、これも食べていいぞ！｣
そして、ズレたことを言う炭治郎。
それにムキになる伊之助も伊之助だ。
｢…
───
食事を終えると、部屋には布団が四セット敷かれていた。
｢出た！妖怪ば｢善逸？｣
また善逸を殴ろうとした炭治郎の手首を掴んで阻止し、善逸にチクリ、と釘を刺す。
だけど、俺の視線は炭治郎に向いている。
伊之助がいち早く、寝場所を確保した。
｢早い
｢いいぞ、好きなとこで寝ろ。｣
伊之助の煽りはことごとく、いなされている。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月1日 18時
