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「猪突猛進っ!!」

玄関を頭突きでぶち破った、猪頭。


「また出たぁぁぁぁぁ!!化け猪ぃぃぃ!!」


ヌハヌハ、笑う猪頭は鬼の気配がする、と言ってキョロキョロ、と辺りを見回している。
善逸の話によれば、どうやら同期らしい。


「いち早く入山して、誰より先に下山したせっかち野郎!」


善逸が思い出しているうちに、猪頭の視線…といってもどこ向いてるか分からない目玉だけど、それが炭治郎の箱を見つけた。


「ハハハ…見つけたぞぉっ!」

「やめろーっ!」

「善逸っ!」


善逸が箱を背に庇い、俺はその善逸を背に庇う。
一拍でも遅れていたら、箱は切り刻まれていたと思う。


「なんだ?てめぇらは…そこを退けっ!」

「俺は我妻善逸!お前と同じ、鬼殺隊だ!」

「俺は鏡月紫音。鬼殺隊、階級は戊。」

「あぁ?鬼殺隊?なら、わかるだろうがっ!それは始末しなくちゃなんねぇんだ!早くそこを退け!」

「退かないっ!これは炭治郎の「ごちゃごちゃうるせぇ!なら、そいつも箱も…纏めて始末してやるっ!さっさと…退けっ!」


振り下ろされるギザギザ刃の刀を、掌底で軌道をずらす。


「刀を向けるのは、隊律(ルール)違反だよ。」

「てんめぇ…」

「この箱にも、善逸にも…手出しはさせない。俺と…炭治郎の大事なものだから。」

「オイオイオイ…何言ってんだ?その箱の中には鬼がいるぞ。分からねぇのか?」


そんなこと、耳のいい俺と善逸にはとっくに分かってる。
鬼の箱を守る善逸を庇った時点で、俺も何かしらペナルティはあるかもしれない。


「俺が…」

「あぁ?」

「俺が…俺が直接炭治郎に話を聞く!だから…お前は…引っ込んでろ!」


そこからだ、刀は振られないにしろ俺は蹴鞠(サッカーボール)の様に何度も蹴られた。


「紫音っ!」

「箱、守ってて…善逸には手出しさせないから…っ。」

「オラっ!」


蹴られ血管が切れたのか、地面に赤が飛び散る。
鼻、痛いや…折れてないといいけど…


「退けっ!」

「退かない…よっ。」

「オラ!退け!オラ!刀を抜いて戦え!この弱味噌がぁっ!」


箱を守る善逸の盾となり俺は、炭治郎が戻るまで蹴られ続けた。
この光景に、炭治郎の息を飲む音が聞こえた。


「炭治郎っ、守ったよ!お前が…これ命より大事だって言ってたから!」

「威勢のいい事言ったくせにっ、刀も抜かねぇこの愚図が!同じ鬼殺隊ならっ、戦って見せろっ!」

「ぐはっ…」

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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