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その瞬間、善逸の鼻の提灯が割れ音も元に戻った。
振り向いた善逸の足元には、斬り落とした鬼の頸がゴロリ。
「え?……イヤァァァァァァァ!!死んでるぅぅぅぅぅっ!!急に死んでるよぉぉぉ!!なんなんのぉ!?もうやだぁ!!」
その発言から、善逸は寝ている間に自分が斬った事は覚えていないのか、と思い至る。
見つめていると、塵と化した鬼から俺へと視線を上げた善逸と目が合った。
「正一くん…まさか…」
そう呟くなり善逸は、正一へと抱き着いてた。
正一は、ポカン、だ。
「ありがとぉぉぉ!助かったよぉぉぉ!この御恩は忘れないよぉぉぉ!こんなに強いなら、最初に言っといてよぉぉぉ。」
「お、俺じゃないですっ!」
正一が否定すると、善逸は俺を見てくる。
「もしかして、紫音…?」
「そう、かもね?」
濁した言い方をするが、善逸は俺へと抱き着いてきた。
体格の違う俺は難なく受け止める。
「ありがとぉぉぉ!!」
「言ってるじゃん、守るって。」
真実に蓋をして、俺は善逸を甘やかす。
「善逸、行こう。君も、行くよ。」
「うん…」
「そうですね。」
俺たちは、はぐれてしまった炭治郎と妹の照子を探しに家の中を進む。
───
「炭治郎ぉ、どこだよぉ。」
「…善逸、聞こえてるよね。気持ち悪い音がまだ止んでないから、ここを牛耳る鬼は斬られてない。」
「うん、紫音…炭治郎、大丈夫…だよね?」
「ん…まだ、ね。」
そう会話をしつつ廊下を走ってはいるが、なんだかループしているような感じがしていた。
「あの、善逸さん、紫音さん。なんか…同じとこ回ってない、ですか?」
「やっぱりぃ!?」
「そんな気はしてた。」
そうなると、どこかの部屋を開けなければならない。
「じゃあ紫音、そっちの部屋大丈夫か見てもらえる?」
「オーケー、任せて。」
指示された部屋をそっと開け、中の様子を伺う。
人も鬼もいない、空間だった。
「クリア…こっち、行ってみよう。」
そっと中へ入り炭治郎を探しながら、進む俺たちの耳にあの音が響く。
「鼓…っ!」
「ほぇ?」
「え?」
ググググ、と音がしたと思えば足元に合ったはずのものがなくなっていた。
「部屋が…回ったぁ!?」
「善逸っ!!」
落ちる。
思った瞬間に、俺は善逸と正一を引き寄せる。
そのまま落下の衝撃を和らげる為に、二人を抱きしめる。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時