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｢そうか、分かった。｣
黒い
その顔は般若のソレ、だった。
炭治郎から聞こえる怒りの音は、俺に向けてか善逸へか。
はたまた、二人への怒りなのか。
あまりの恐怖に善逸は俺の腕から抜け出して、炭治郎が背負う箱を掴みズルズル、と引き摺られていく。
無理強いさせるつもりはない、と言いつつもその圧を出すのはどうかと思うな。
炭治郎は子供たちの下に寄り、背負っていた箱を子供たちの前に置いた。
｢もしもの時の為に、この箱を置いていく。何かあっても、二人を守ってくれるから。じゃあ、行ってくる。｣
俺はその様子を眺め思っていた。
箱の中に未確定ではあるけど、鬼がいる。
その鬼が子供たちを何故守ると言い切れるのか。
不思議でならなかった。
鬼は、人を喰う化け物でしかない、はずなのに。
家に向かう炭治郎。
その背を泣きながら追いかける善逸。
俺は善逸の隣を歩く。
半分脅されたとはいえ、逃げ出さずに前に進む事を決めた善逸は偉いと思う。
───
中に入ると、作りは至って普通に見えた。
ただ、あちこちから鬼の存在を示す音が聞こえてくる。
｢紫音〜、なぁ紫音〜！守ってくれるよなぁ？俺を守ってくれるよなぁ？｣
｢うん、守るよ。だから安心して、善逸。｣
大粒の涙を流しながら言う善逸を、安心させるように肩を抱いて進む。
｢ところで、炭治郎。君、怪我してるでしょ。大丈夫なわけ？｣
｢バレてましたか…申し訳ないですが、前の戦いで俺は
俺と炭治郎の会話を聞いていた善逸が、大発狂。
地団駄踏む子供の様に、両手足をバタつかせて死んだ死んだ、と言う始末。
｢善逸、静かに。君を守るのは俺だから大丈夫だよ。｣
｢それに、善逸は…駄目だっ！｣
炭治郎は何かを言いかけたが、俺たちを追いかけてきてしまった足音に声を張り上げた。
｢お、お兄ちゃん…っ、あの箱カリカリ音がして……！｣
｢だからって、置いてこられたら切ないぞ。｣
箱が命より大切だ、と言う炭治郎を他所に俺は立ち上がった善逸を宥める。
｢気休めで言ってる訳じゃ、ないよ？｣
｢それ、誰にでも言ってるんでしょ。…紫音、顔良いもんね。｣
｢言ってないのに…信用ないな。｣
｢当然だよ、会ったばかりなんだから。｣
それを善逸が言うんだ。
出会い頭にプロポーズする、善逸が。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月1日 18時
