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「2人で後をつけたのか。偉いぞ、頑張ったな。」

「お兄ちゃんの血の跡を辿ったんだ、怪我したから……っ。」


炭治郎の言葉で、二人は思い出したようで我慢していたであろう涙を流した。


「大丈夫、俺たちが悪い奴倒して君たちの兄を助けるから。」

「ほ、ほんと…?ほんとに?」

「うん、きっと!」


絶対、と言いたいところだけど、この仕事に絶対は約束されない。
それをわかっての、きっと、なんだろうな。


「紫音…なぁこの音、なんなんだ?」


善逸の声で、俺も耳を澄ませた。


「気持ち悪い音、ずっと聞こえる…」

「……鼓、かな。この音。」


炭治郎はこのやり取りを聞いて、音なんて、と呟いた。
それでも聞こうとしていたらしく、意識を集中させている。
ポン、ポン、と一定のリズムだったのが次第に速くなり、一際大きく鳴ったと思うと二階の窓であろう所から血に塗れた人間が放り出された。

あの高さから落下はまずい。
そう思い、すぐさま俺は子供たちの視界を遮るように抱きしめる。


「見なくて、いい。」


音だけで分かった。
地面に叩きつけられて、あの人間は潰れたトマトになってるだろう。
それを見てしまっただろう善逸からは、恐怖の音。
炭治郎が落ちた人間に駆け寄るのと同時に、俺も子供たちから離れ善逸の下へ。


「善逸。」


回り込んで、俺の背を炭治郎へ向ける。
ショックで視線が合わないかと思ったけど、しっかり黄金の瞳が俺を捉えた。


「紫音、ひ、人が…っ、落ち…」

「ん、見ちゃったよね聞こえたよね。」


見えないように、他の音が聞こえないように、善逸の耳を俺の左胸に押し当てる。


「煩いかもしれないけど、聞いてて。炭治郎、もしかしてその人…」


二人の兄かどうかを聞こうとした時、鼓の音が激しく何度も響いた。
子供たちも、善逸も震え、俺と炭治郎は家を睨みつける。


「ねぇ、この人は君たちの…」

「……兄ちゃんじゃない。兄ちゃんは柿色の着物を着てる…」


なるほど(インディード)、あの二人の兄だけが被害者じゃないってわけか。


「よし、善逸!鏡月さん!行こう!」


炭治郎がそう言うと、善逸はブンブン、と俺の腕の中で頭を横に振り無理だと全力で拒否した。


「でも…今助けられるのは、俺たち三人だけだ。」

「炭治郎、それ無理強い。善逸、いいよ行かなくていい。」


善逸をとことん甘やかす俺に、炭治郎はため息をついた。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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