9´ ページ11
変な隊士と合流した。
一人は最終選別にいた同期。
もう一人は、紫紺色の髪色で三つ編みの周りに毛を巻き付け、表面を炙って溶かした縮れ毛が固まった様な髪型をした男。
その男は、右頬と左眼に傷があって、上背も六尺くらいあって体格もがっしりしてる。
視界に入った可愛い女の子に求婚する俺が言えた口じゃないけど、出会ってすぐの俺の事を"守る"とか言ってきた。
いや、確かに助けてって、守れよって言ったけどさ。
普通は、引かない?
自分で言っておいて、悲しくなったわ!
炭治郎の反応が、正しいんだと思う。
口先だけかと思ったし、同じ男だしないない、って思ってたのにさ。
縋り付いた時に聞こえたんよ、その男の人…紫音の音が。
力強い音、なのに凄く優しくて。
そこに恋してる音も混ざっててさ。
聞いてるこっちが恥ずかしくなった。
「うん…ありがとう、紫音。」
そう言って俯いたまま胸押せば、すんなり離しくれた。
……胸板凄くてさ、一瞬豊満な乳房かと思ったよ。
───
任務に行かなきゃならないから、あぜ道を三人で歩いてたら気持ちが落ち着いたらしくて腹減ってきたんよ。
けど、食うものなんて持ち合わせてないから我慢するしかないかなって思ってたのに。
「はい、善逸。」
「え?」
後ろを歩いてた紫音が俺におにぎりを差し出してきてさ。
「俺、何も言って……」
「君の腹の虫が、俺に教えてくれたよ。」
「そんなの聞こえなかったですよ?隣歩いていたのに。」
「俺、耳良いから聞こえたんだよ。」
そう言って右手の人差し指で右耳をトントン、と紫音が叩けば右耳にあるピアスも一緒に揺れる。
その仕草が様になってて、向けてた視線を慌てて前に戻した。
目の保養になる、とか言うけど、あれは毒だよ毒。
「ありがと…落ち着いたら、腹減ってきたんだけど食うもの持ってなかったから……」
「そうか、ほら、食べなよ。」
そう言われて俺は有り難くおにぎりを受け取って食べ始めた。
あ、塩加減ちょうどいい。
「それならそうと、言ってくれればいいのに。言わないと分からないぞ、善逸。」
「人の事言えないんじゃないの、炭治郎。」
「うっ……バレているのか…」
炭治郎のは俺にも聞こえた。
それと同じく、後ろからも。
チラッ、と後ろに視線を向ければばっちり目が合った。
慌てて前向けば、クスッ、て笑われた。
恥ずかしっ。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時