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◆流浪武士の独白。 ページ12

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───────私、璃月港に行ったことが無くて



───────叔母以外と話したのは貴方が初めて。







──────────今から晴れるので大丈夫ですよ。

──────────"偶然"、晴れましたね。








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璃月で立て続けに雨が降り続ける中、璃月の人々は何かの予兆かと噂立てるぐらいには異常気象が続いていた。拙者が何時も世話になっている死兆星号もその噂を耳にし、魔神オセルの再来かと姐君も不思議がっていた。

何日かは璃月に滞在する事が決定するも、景色が変わらぬ場所に居続ける事に痺れを切らした自身は許可を得て璃月港の外を歩いて回った。同じ時間帯に雨が降り、夕刻になれば雨は止む。璃月全体が雲に覆われており、快晴であった先週の今頃が懐かしく思えるぐらいだった。

軽々と岩山を登ったり下ったりして気を紛らわすようにして自然の音色を耳に挟む。小降りだった雨も急に激しく、打ち付けるような雨音が静寂な岩山へと落ちる。雨が嫌いな訳では無いが、この雨の音は何故か自身の心も惑わすような悲哀な気持ちが漂ってくる。契約という言葉を重んじる璃月。その璃月を守るモラクスが泣いているのでは無いか、と思うくらいには。





生憎番傘を持参していない己は近くの洞穴へと逃げ込んで、何時止むか分からない雨を見ながら大きく溜息をついた。






「 …拙者も不運でござるなぁ。雨宿り仲間ではあるが、お主らは其れを許してくれぬ。 」






足音で勘づいていた拙者は洞穴に近づくヒルチャールの群れを見付ける。相手も気付いたのか、手に持つ棍棒や盾を駆使して己を殺す勢いで向かって来る。刀を鞘から取り出した自身は風を身に纏い、軽々と首を鋭利な刃で斬っていく。

瞬間移動してきた炎のアビスに反応をするのが遅くなり、身が焦げるような炎が全身を蔦る。ヒルチャールの放った矢が炎を身に纏い、己の腹を刺す。痛みが伴ったものの、早く倒さねばという信念が脳裏に過ぎる。



倒し終わった敵を横目に、壁を背にして座る。拙者の一生も此処までか、と誰にも看取られずに呆気なく死ぬ自分を自嘲する。己の体温が少しずつ下がる事を実感すれば走馬灯が見えるように浮かび出す。意識が暗転しそうになる直前、何かが自身の身体を触れたような気がした。








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ふわな - とっても面白いです!これからどうなるのかとってよ楽しみです!更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月22日 0時) (レス) @page9 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
パイナップルのバナナ - こんにちは!!(?)凄く好きだっ!!ってなりました!これからも頑張ってください⭐️ (2022年6月17日 20時) (レス) @page2 id: 1ffb1529af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月17日 7時

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