5 ページ5
SIDE:A
目の前に広がる光景にわたしは驚いていた。
遊園地なんて小さい頃行ったっきりで、もうほぼ記憶なんてないし、なにせ行く機会もなかった。
ゆっくりと回る、カラフルな観覧車。
ぐるりと渦巻いているジェットコースター。
見たこともないような人の波。
そして正面に
風が少し強いが、それも気にならないくらいの驚きだった。
目の前に広がるのは、まるで夢の世界。
こんな所があるなんて、もっと早く来てみればよかった。
「すごいね、遊園地って」
「あ、そか、Aって子供の頃しか来たこと無いんやっけ、
この時期は夜になるともっとすごいで!楽しみにしててや!」
にかっと笑う坂田。
「はよ行こーや、楽しみやな!」
そう言う坂田に手を引かれる。
坂田はなんにも思ってないんだろうけど、少しドキリとしてしまう。
そして連れられた先は……。
「じ、ジェットコースターですか、いきなり……」
「最初にデカい衝撃来た方がええやろ、あー、楽しみや!ワクワクする!」
「うーん」
「今日結構空いてる方やね、もう順番やで!ふふふ」
10分ほど列で待っていると、乗り場がもう見えてきた。
残り4組、といったところか。
楽しみではあるが、外から見たら結構高さがあった。少し怖い。
隣をちらり、と見るとわくわくしている坂田。
殴りたい。
衝動を抑えてデコピンにしておいた。
そしてとうとう私たちの番。よりにもよって1番前になってしまった。
「楽しみやな!めちゃめちゃ景色綺麗やで!絶対!」
無邪気な坂田。今だけは殴りたい。切実に。
「殴っていい?」
「えっ?!俺なんかした?!」
ゆっくりとジェットコースターが動き出した。
だんだんと傾いていく車体。
ゆっくりと登っていくせいで、怖さがだんだんと増していく。
「ねえ坂田」
「ん?」
ついに頂上につき、目の前に広がるのはパーク内。
カラフルで、かわいらしくて、とても楽しい空間。
そして落ちる瞬間。
「下に着いたら殴る」
「え゛?!」
343人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子(プロフ) - いい感じにすれ違って行ってますね(?)まぁ楽しみということです!頑張って下さい (2020年4月11日 22時) (レス) id: f5a2d726a8 (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - うわぁ…気持ちは分かるけど絢香ちゃん腹黒だぁ…坂田さん、複雑な気持ちだろうな…。更新待ってますね (2020年4月11日 0時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
きほん(プロフ) - はじめまして、とてもキュンキュンしながら読ませていただいています!ドキドキハラハラキュンキュンで、個人的にはどちらのオチも見てみたいですが、どうなるのかとても楽しみです! (2020年4月9日 0時) (レス) id: d19256ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ - 年下組が夢主ちゃんのことでバチバチ(?)なっているのがキュンとしました。あと、作者様の書く文がとても好みです!その文才を私にも恵んで下さい…長文失礼しました。 (2020年4月3日 12時) (レス) id: 5d83f022ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月30日 0時