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SIDE:A


目の前に広がる光景にわたしは驚いていた。

遊園地なんて小さい頃行ったっきりで、もうほぼ記憶なんてないし、なにせ行く機会もなかった。

ゆっくりと回る、カラフルな観覧車。
ぐるりと渦巻いているジェットコースター。
見たこともないような人の波。
そして正面に(そび)え立っている塔。

風が少し強いが、それも気にならないくらいの驚きだった。

目の前に広がるのは、まるで夢の世界。

こんな所があるなんて、もっと早く来てみればよかった。


「すごいね、遊園地って」

「あ、そか、Aって子供の頃しか来たこと無いんやっけ、
この時期は夜になるともっとすごいで!楽しみにしててや!」

にかっと笑う坂田。

「はよ行こーや、楽しみやな!」

そう言う坂田に手を引かれる。
坂田はなんにも思ってないんだろうけど、少しドキリとしてしまう。

そして連れられた先は……。

「じ、ジェットコースターですか、いきなり……」

「最初にデカい衝撃来た方がええやろ、あー、楽しみや!ワクワクする!」

「うーん」

「今日結構空いてる方やね、もう順番やで!ふふふ」

10分ほど列で待っていると、乗り場がもう見えてきた。
残り4組、といったところか。

楽しみではあるが、外から見たら結構高さがあった。少し怖い。
隣をちらり、と見るとわくわくしている坂田。
殴りたい。
衝動を抑えてデコピンにしておいた。

そしてとうとう私たちの番。よりにもよって1番前になってしまった。

「楽しみやな!めちゃめちゃ景色綺麗やで!絶対!」

無邪気な坂田。今だけは殴りたい。切実に。

「殴っていい?」

「えっ?!俺なんかした?!」

ゆっくりとジェットコースターが動き出した。
だんだんと傾いていく車体。
ゆっくりと登っていくせいで、怖さがだんだんと増していく。

「ねえ坂田」

「ん?」

ついに頂上につき、目の前に広がるのはパーク内。
カラフルで、かわいらしくて、とても楽しい空間。

そして落ちる瞬間。

「下に着いたら殴る」

「え゛?!」

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柚子(プロフ) - いい感じにすれ違って行ってますね(?)まぁ楽しみということです!頑張って下さい (2020年4月11日 22時) (レス) id: f5a2d726a8 (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - うわぁ…気持ちは分かるけど絢香ちゃん腹黒だぁ…坂田さん、複雑な気持ちだろうな…。更新待ってますね (2020年4月11日 0時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
きほん(プロフ) - はじめまして、とてもキュンキュンしながら読ませていただいています!ドキドキハラハラキュンキュンで、個人的にはどちらのオチも見てみたいですが、どうなるのかとても楽しみです! (2020年4月9日 0時) (レス) id: d19256ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ - 年下組が夢主ちゃんのことでバチバチ(?)なっているのがキュンとしました。あと、作者様の書く文がとても好みです!その文才を私にも恵んで下さい…長文失礼しました。 (2020年4月3日 12時) (レス) id: 5d83f022ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月30日 0時

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