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その日、私はひとりひとりの家に、1人で向かった。
「うらたくん、久しぶり」
いきなり現れた私に、さぞかしびっくりしただろう。
「……A、どうして」
「あのね、お手紙を渡しに来たんだ。
……ほら、父上が禁止して、もう会えなくなったらやだからさ」
「手紙、って」
「あ、まだ開けないでね、恥ずかしいから!
うーん、そうだなぁ……。2日後くらいに開けて!」
「なんで2日後?」
「うーん、なんとなく」
「……そ、か。ま、また絶対会うからな。これはしばらく開けないことにするよ」
「うん、ありがとう!」
「またな、A」
「じゃあね!」
✧*̣☽⋆゜
「志麻くんっ、久しぶり!」
「あ、Aやんか、禁止されたんとちゃうん?」
「へへ、来ちゃった。内緒ね?」
「…ちなみになんで?」
「ふふん……じゃーん、お手紙を持ってきました!」
「おぉ、読んでええ?」
「まだ駄目!2日後くらい!」
「え、なんで?」
「間違えて2日後の日付書いちゃったから…」
「ふは、Aらしいやん、ええで、ちょっと待ったるわ」
「へへ、ありがと」
「またな」
「うん、じゃあね」
✧*̣☽⋆゜
「坂田、久しぶり……。ちょっと……あれだね」
「A、久しぶり!あれだねって痩せたってこと?」
「いやなんか老けた」
「老けたんかい」
「へへ、ごめんごめん。そうだ、今日ね、お手紙持ってきただけなんだ、この後センラくんとこにも寄るの」
「へぇ、嬉しいわ、ありがとうな」
「あ、読むの2日後くらいにして!あのね、書いた日付間違えちゃって!」
「ドジやなぁ、ふは、久しぶりに笑ったわ、ありがとうな!」
「笑ってくれたなら何より!じゃあね!」
「おう、またな、A!」
✧*̣☽⋆゜
「センラくん久しぶりー……。
……あれ、起きてる」
「あれってなんやねん」
「いや知らなくて」
「もう少しで退院や、もう」
「そうなんだね、よかった!」
「おう、そやね。久しぶり、A」
「うん、あのね。手紙書いたんだけど……。日付間違えちゃって、2日後くらいに開けてくれると助かる」
「ふふ、ええで。……あれ、髪留め、付けてくれてないんや」
「あー、そうね」
「……あんま、気に入らんかった?」
「ううん、凄く。綺麗で、すごくすき」
「ほんならええわ、好きにしぃ」
「へへ、ありがとう。じゃあね」
「……おう、またな、A」
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作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月29日 2時