どちらさまですか……【歌い手】

93 うちあわせ ページ43

ガトーショコラをひとくち ぱくり。
センラさんが差し入れとして買ってきてくれたものだ。美味しい。


ケーキを味わいながら、私は配られた資料に目を通していた。


「イラストはAtR、浦島坂田船、天月くんに智久くんまでは頂いています！その他は随時グループLINEに送らせていただきますね！」



まふさんの話に耳を傾けながら、1枚先の資料にもなんとなく目を通しておく。
どんな曲を歌おうかな、と少しわくわく。

こんなに大きな舞台でライブすることだって、滅多にないからね。



「―――なので、できれば次回の打ち合わせまでに、テーマの”和”にそったセトリの提出をお願いします！」



オリジナルを1曲、それと”和”にそった曲もいくつかピックアップしておこう。
……オリジナルは、この前投稿したやつでいいかな。

さて、”和”か。
できるだけ他の人とは被らないような選曲にした方がいいだろうし、悩むなぁ。


……あ、そうだ、あれにしようかな


*


会議が終わり、マツリさんの方を向く。
その表情を見て、今日も大丈夫そうやな。と、安堵する。

最近は情緒が安定していて、良かった。
少し前までは、なんだか少し不安定だったから。
……まぁ、記憶ない人が不安定にならないわけが無いんやけど。


マツリさん、どんな曲選ぶんやろな。
まぁ、この前の新曲は歌うやろうし。

……あ、そうだ。



「マツリさん、お疲れ様やで〜
曲、どんな感じにするん？」


やっぱり聞く方が早いかな。
マツラーとして、楽しみにしていたいような気もするけど、結局、リハで分かってしまうからなぁ。
どうせなら、誰よりも早く知ろう。といいわけだ。


「うぉ、センラさん。……びっくりした。
えーっ、と、私はだいたいこんな感じ、ですかね」


す、と自分の方に滑らせた紙には沢山の曲名が書いていて、そのうちの3つにマルがついていた。


……なるほどな。マツリさんにはピッタリ。
自分のこと、分かってるなぁ。



「おお、ええやん！楽しみやなぁ！
新曲も、まだマツリさんの声では聴いた事ないし！」

「ふふ、まだアレなんですけどね。
楽しみにしておいてください！
……あ、そうだ、センラさんはどんな感じにするんですか？」

「ん？あぁ、俺はまだやで。メンバーとも相談せなあかんし。
いっつも通話して相談するんやけど、雑談多くて長引いてまうんよなぁ……」

「ふふ、仲良しなんですね！
……では、また次の打ち合わせで！」

「ん、また！」

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