天使になって待ってるね I (ページ29)

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いよいよそうちゃんの初出勤の日。

私は大学から誰も居ない場所に帰ってきた。
一人きりの家なんてだいぶ久しぶりで、
寂しくて仕方ない。

夜、鍵をあける音がして、玄関まで迎えに行くと、
少しお疲れ気味のそうちゃん。

なんだか女の子の香りがする。
いや、そういうのよく分からないんだけど、
いつものそうちゃんとはちょっと違う、ような。

なんで？バイト、行ったんだよね？
いやいや、疑うなんて良くない。

でも2回目も、3回目も、4回目、5回目も。

バイトから帰ってきたあとは必ず
いつものそうちゃんとは違う香りがして。

そう言えばバイトしたいって言った時も
なんかごまかしてたっけ。

そうちゃんがそばに居てくれたら、
こんな気持ちなくなるのに。

家に居る時はずっとそばに居て、勇気を出して
いつもより甘えてみたりした。

あーあ、
そうちゃんバイト行かなくていいのになあ。

「どうしたの？Aちゃんから
くっついてくるなんて。」

少し狭いけど、結局買い直さなかった
シングルベッドの中。

「ねえ、あのさ、」

「ごめん、今日疲れたからもう寝るね。」

寝返りをうって、私に背を向けるそうちゃん。
前、顔が見えて落ち着くって言ってくれたのに。

そんな日もある、仕方ない。
そう自分に言い聞かせて眠った。

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