天使になって待ってるね I (ページ1)

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「私は年下派だわ。」
何回このセリフを言ったっけ。

飲み会で年上の彼氏ができた、なんて報告してくる
友達に幾度となく言っているけど、別に年下に恋したことはないし付き合ったこともない。

「まーた言ってるよ。」

「だってさ、可愛いじゃん！
どうにか出会えないかなあ。」

「犯罪臭すご…。」

「あー、こら！引くな！」

お酒をのめるような歳になって少し経ったけど、
小さな頃想像していたよりも中身は子どものまま
だった。

この歳になって彼氏いない歴＝年齢の私は、まだまだ青春ってやつに憧れているのかな。

「あ、彼氏が近くまで迎えに来てくれてるみたい。
今日は帰ろ。」

「もうこんな時間か、そうだね。」

「ん、じゃーね！高校生襲うなよ～！」

「そんなことしないわ！」

友達と別れて、ほろよいで自分の最寄り駅まで
帰ってくる。ぽたぽたと降ってきた雨に思わず
苦い顔をした。

家の方向へ降りる階段に繋がる歩道橋を歩いて
いると、はしっこでうずくまる男の子が目に入った。荷物、たくさん。どうしたんだろう、家出とか？

あ、目合っちゃった。

綺麗な顔。不思議と目をそらせなくて気付けば

「大丈夫？」

なんて声をかけていた。

「寒い…。」

そう答える彼の顔はよく見ると青白い。
雨で体が濡れていた。風邪引いちゃいそう。

「あのー、うち来る…？」

彼は遠慮がちに頷いた。

立ち上がった彼はかなり背が高くて、さっきまでは
見上げられていたのに、もう完全に見下ろされて
いて、ちょっとドキッとしたりして。

「荷物、たくさんだね。
ちょっと持ってあげよっか？」

「おれ、力持ちだから大丈夫。」

彼は傘を持っていなかったから、いわゆる相合傘の
状態なんだけど、思ったより距離が近くて、ほっぺたが熱くなるのを感じた。

「あ、うち今食べられるものないけど、なんか買う？」

「肉まん、食べたい。」

分かる、美味しいよね～。
リクエストに答えるべく、コンビニで肉まんを購入。

「はい、どーぞ。」

「ありがと、…いただきます。」

心做しかさっきより口角が上がった彼が美味しそうに肉まんを食べているのを見て、私も思わず口角が
上がった。可愛いじゃん。