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寝顔 ページ11

A目線

「_あら?」


忘れ物を取りに教室へ来ると、そこには机の上で

寝ている仙ちゃんが居た。


起こさない様に、普段以上に気配に気をつける。


最近、学園長先生からの任務や、委員会に課外授業と

忙しかったことに加えて、今日はちょうど良い気温で

この時間だ。 課題中に眠くなってしまったのだろう、

眠っている横に課題と教科書が置いてある。


「(寝不足だったのね。仙ちゃんがお昼寝なんて

珍しい)」


そんな事を考えながら、自分の席に置きっぱなしに

していた手拭いを手に取る。


本来ならそのまま教室を出るのが当たり前__

だとは思うのだが、どうしても後ろから微かに

聞こえる寝息の主の方が気になって仕方がない。


...ちら、と彼の方を見る。


本当に見れば見る程整った顔立ちをしている。

それを演出するかの様に、彼の肌を窓から入る

夕日が照らしていた。


気づけば、彼の隣でじっくりと見つめてしまっていた。


自分の好きな人が寝ていて、無防備な姿で居る、

ただそれだけで吸い寄せられるかの様に。


極限まで消している気配とは裏腹に、ドッ、ドッ、と

強く跳ねる心臓。

この音が彼に聴こえていません様に、と心の底から

願う。


外から遠く聴こえてくる後輩たちの声、

時たま彼の髪にかかる風の音、その中ですう、すうと

微かに聴こえてくる彼の寝息。


それを聞いているだけで、心臓が締め付けられ、

顔は紅潮した。


ああ、好きだな... なんて、このタイミングで思う事

なのだろうか。 本当に恋とは不思議なものだ。

伊作に提案され、ゆっくりと受け入れつつある

この気持ち。


最近は、この気持ちをもはや愛おしいと感じる様に

なってきた。


何年も出来なかった、否定する、ということの

何千倍も早い。


やはり自分にはこっちの方が合っていたんだろうな、

そう思うと少し口角があがる。


「(ねえ、仙ちゃん)」


彼と同じ体制になり、近くで彼の顔を見つめる。

心臓がおかしくなりそうだ。




「(好きよ。これからもずっと)」




さら、と彼の髪に触れ、そのまま頬を撫でる。

するとぱち、と目が開く。


「...Aか」


「_おはよう、よく眠れた?」


「ああ眠っていたのか..、気が緩んでしまっていた」


「休憩は大事よ。ちゃんと寝てね?」


そう言って笑いかけると、何事もなかったかの様に

立ち上がり、教室を出る。



廊下で顔が熱くなる。そのまま座り込み、暫く自分を

何度も責めていた。

冷めない熱→←ゲンコツと



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(プロフ) - 続きが読みたいです…、何年でも待ちますから…!(泣) (2022年9月3日 0時) (レス) @page24 id: 912a8b7391 (このIDを非表示/違反報告)
草餅 - MARIさん» 返信が遅くなり申し訳ありません( ; ; ) 頑張って更新します! (2018年1月18日 14時) (レス) id: 0c115415c6 (このIDを非表示/違反報告)
MARI(プロフ) - 続きが見たいDEATH!(忙しいんですかね) (2018年1月7日 12時) (レス) id: f2fb6e2bac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:草餅 | 作成日時:2017年11月1日 11時

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