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#8【アビリティ】 ページ9

人通りの多い駅前。週末の駅前は学生や家族の姿が多く見られる。

いいなぁ。楽しそう。

私はというと私服で犬の銅像の前に立っている。周りの人は待ち合わせして待っているせいか、私は一人、浮いている。

というか見られている。どうにも視線が痛い。


本当に、その人に会えるんだろうか?







____2日前___


『で、アビリティのことを聞いた日から4日経ちましたけど?』

『取引をしてた。週末に会ってくれるそうだ。』

話が急すぎ。何がなんだって?

『いやだからアビリティって……』
『会えば分かる。……それに。』

いきなり口ごもる。

『それに?』


『説明するのは嫌だ。』



___現在____

なんで説明したくないんだろう?
それが余計気になって、一昨日から不幸狩りに身が入らなかった。

あぁ、駄目かも。自然とため息が出ちゃう。


「きゃあ!すっごぉい上手!」


いきなり歓喜の声が街中に響いた。通行人も声の方に振り向く。

私もそちらを見るが、人が多くてよくは見えない。それでもやっぱり気になるので人の少ない場所を辿って声の方へ歩いていく。


すると近づいてきたのか、声が大きくなってきた。


「お兄さん、すっごぉい絵が上手いね!ねぇ、メアド交換しよっ?」
「もちろん。名前も教えてよ。」
「え〜やだ〜!お兄さんから教えてよ!」


人の波を抜けた。そこには路上で絵描きをする人と、その人の周りに群がる女子高生。(自分も女子高生なのに)


「んー。本名じゃなくてもいい?」
「うん!全然オッケー!」

……あの人だ。


裏ありげな笑顔で応える男性。いや、もう何人も見てるから分かるけど、あの人は……


「じゃあ、ウェンズデイって皆呼んでね。」


彼も私に気がついたのか、横目で私を見て笑いかける。


ゾクッとした。今、何かを見透かされたような気がした。


「ウェンズデイ?」
「変なあだ名!じゃあねお兄さん!」
「うん。また。」

女子高生に手を振って別れた彼は、完全に私を見た。


緊張。

「あの、こんにちは……!」

「うん、こんにちは。佐倉美琴さん。」

#9【ウェンズディ】→←#7【原因の原因】


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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ボッチ猫=二人猫(プロフ) - 青りんごさん» 頑張ります!更新が遅れてしまうかもしれませんが、が、頑張ります! (2016年12月10日 13時) (レス) id: 4715a0d10f (このIDを非表示/違反報告)
青りんご - すごく面白いです! 続きが楽しみです。これからも、頑張ってください!応援してます♪ (2016年12月6日 19時) (レス) id: d514a0beac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ボッチ猫=二人猫 | 作成日時:2016年6月5日 13時

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