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#5【ある日1】 ページ6

「おーい、起きてるかー。」

誰かの声がする。
私は目を開けて声の方を見た。

「澤田さん……」

私が起きて安心したのか、身を乗り出していた澤田さんは元の体勢に戻った。

私は現状を確認するために、重い体を起こした。


あまり見慣れない部屋だけれど、消毒の匂いで保健室だと分かった。


「授業中にぶっ倒れたんだってな。」
「私が?」
「いや、他に誰が居んだよ。」


保健室の椅子に腰かける澤田さんは、色々と知っているらしい。


けど、いつもの澤田さんとはちょっと違い、何故かよそよそしい態度だ。

私はぼーっとする頭を振り、余所見している彼に話しかけた。


「何かあったんですか?」

「え、いや……特には無い……が。」


嫌な間。何かを隠しているように思える。

この人、嘘をつくのが下手だな。


気にしないことにしてベッドから降りる。


「は!?いや、寝てろって!」
「でも授業出ないと。」
「もう放課後だってーの!」


放課後?ほ、

「放課後!?」


咄嗟に窓の外を見る。オレンジ色の空に、部活中の生徒の声が聞こえてくる。


なんてことだ。今だかつて授業を休んだことの無い私が……サボるなんて…

「……切腹だ」
「え、今なんて?」

「切腹だあぁぁぁああぁ!!!」

体のだるさなんて気にせず、保健室のドアを思いっきり開け、走りだそうとした、けれど。


「わっ」


白い服にぶつかった。いや、保健室の先生だ。


先生「おっと。どうしたのかな、佐倉さん?」


私はぶつかった後、数歩下がった。

ごつくないすらりとした白衣、特徴的な細い目であり眼鏡をかけている背の高い男性が視界に入った。

すれちがったことはある。確か。

「太井凛一先生、すいませんでした!」

「いえ、大丈夫ですよ。それよりももう起きていいんですか?疲れているでしょう?」


そう言い、私の目線と合わせる。

「確か、熱もあった筈ですが……?」


白い手が眼前に伸びてくる。
と同時に肩を掴まれ、後ろに引かれた。


「僕が寝かせますので。」



怖い怖い。威圧感が半端じゃないって。


睨みをきかせる生徒に、医務教員は笑顔で応える。


「そう。私は資料を取りに来ただけなので、後はよろしくお願いしますね。」


机の上の資料を手に取り、保健室を出て行った。


「勝手に走るなよ。まだ話は……

なんだ?」


私は肩にある彼の手を指差し、

「あの。肩。」


その後、彼がのけぞったのは言うまでもない。

#6【愛、くるしい】→←#4【ある日1】


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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ボッチ猫=二人猫(プロフ) - 青りんごさん» 頑張ります!更新が遅れてしまうかもしれませんが、が、頑張ります! (2016年12月10日 13時) (レス) id: 4715a0d10f (このIDを非表示/違反報告)
青りんご - すごく面白いです! 続きが楽しみです。これからも、頑張ってください!応援してます♪ (2016年12月6日 19時) (レス) id: d514a0beac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ボッチ猫=二人猫 | 作成日時:2016年6月5日 13時

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