６話＿累＿ ページ7
「……あ、秋桜じゃないか。」
僕が話しかけた彼女、秋桜ちゃん。
彼女はしゃくり挙げて男の子にしては少し小さめで女の子にしては少し高めの子と話して居た。
無論、最初は誰なのかなんて考えていて自分から進んで話しかけようとはしなかった。
ただ、この子しゃくりのあげ方が秋桜ちゃんに似ているなーって思っただけ。
彼女と話して居た人＿＿彼は自分の事を綿雲ふゆといった＿＿は淡々と自己紹介を済ませていたが、彼女はどもりながら自己紹介を彼にしていく。
そして自分のことを秋桜といった。
僕の予想は当たり、彼女は彼女だった。
だから話しかけた。
「あ……、累さん……。ひさっ……お久しぶり……です」
「ふふ」
「なっ……なん…っで、わらうん……です……ぅ……」
「いや、変わって居ないなぁ。と思っただけ、久しぶりだねぇ。秋桜ちゃん……。それに初めまして？綿雲くん？」
恐らく、泣きそうになっているのだろう。彼女はもう二歩三歩僕に近づいて、僕の制服に顔を押しやる。僕は反射神経のごとく、彼女の頭に手をやり撫でるが目線は綿雲くんの方に向いていた。
「……疑問符が付くのかが疑問。おれたちどこかで会ったっけ？」
此処まで、おれを一人称にするのだから女の子の可能性は低いな。
「いや、僕は、人の顔を覚えるのがニガテ……というか覚えれれないんだよ。何故人って目が二つで、口が一つ何だろうか。」
二文目は、ボソッと呟いたせいか、秋桜ちゃんにも聞こえていない様だった。
本当に、口が二つあったり、目が口よりも下に会ったらすぐに覚えられるのに……
子供の頃からずっと思っていた事だった。
「ぼくの記憶には無いね。」
「そうかい。じゃあ初めまして、綿雲くん。僕の名前は、箱庭累。好きなように呼んでくれ」
「じゃあ、箱庭さん、処で箱庭さんのカードって？」
「そう言えば……」
僕はそう言って、言葉を紡ぐのを止めた。
まだ見ていないなんて、口が裂けても言えないなぁ。
どうせ夢なんだからなぁと仮想を立てていたのであの甲高くない子守歌の様な女の声を右から左へと聞き流していたのだ。とはいっても、要点はきちんと頭に留めている。
僕はもう一度、カードをカードを確認するふりをして初めてカードを見た。
『だいあ』『きんぐ』
酷く幼い字だと思いながらも読めるのが不思議だ。
僕は見たまま口に出した。
それを聞いた秋桜ちゃんが僕の顔を嬉しそうに凝視していた事なんて、気が付かなかった。
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作者名：抹茶 x他2人 | 作成日時：2018年9月7日 23時
