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忘却 ページ20

『彼らの心にだって純粋な心、助け合う心や愛し合う心がある!



その美しい心を無視して妖怪を語らないで!』




「愛?



フフッ








それは…


力だけが取り柄の牛妖怪に組み敷かれたこと?」


『なっ…!?



な、なんで








何故それ……を………!?』


「私はお前の悪夢を見ることができるのよ。


お前が五十年前に何度も見ていた悪夢も」



『ぁ…ぁぁぁぁ…………


嫌…………嫌…………



やめて…二度と、二度と思い出したくないの!』



モルガン「そんなに辛いのなら忘れさせてあげる。」


『……えっ?』



モルガン「貴方の純潔を奪ったあの記憶、悪夢は貴方に必要ない。


辛かったことも忘れてしまいなさい。




傷も、記憶も




忘れさせてあげる。







ただ一言




貴方が「お母様」と呼んでくれたらいい。」



『え……


そんな、そんな一言で?



あの記憶以外のことまで忘れちゃうの……?』



モルガン「今すぐ言ってくれないのなら妖魔界を滅ぼしに行くわ」


『や、やめてお母様!』



遂に黄泉王はモルガンを説得することなく、彼女の術中にはまってしまった。

だがそのことに気づいたときにはもうすでに遅く、翡翠色の光の粉が振りかけられた。


『ぁ………』



それを浴びてしまった黄泉王の眼からは光が消え、虚な眼に変わってしまった。




『だ、だめ……


やめてお母………様…………




妖魔界に…は……


行かな……い………で…………』



モルガン「フフッ


貴方が私を母と認めてくれたのですから貴方の願いは聞きますよ。


貴方がいる限りは妖魔界を攻めないとステュクスに誓いましょう。


どんな姿でも愛しい我が娘よ。」


『あり…がとう……』



そう言った後、痺れているようにも見えた黄泉王の体は動かなくなった。



そう、


黄泉王の存在はアヴァロンと妖魔界が接触しないための架け橋だったのだ。

宣言→←貴方の景色に包まれて



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作者名:ロンヌ | 作成日時:2018年6月20日 17時

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