十輪 ページ10
『お忙しいところ恐れ入ります』
「いえ、かまいませんよ
それにしても珍しいですね
貴方がこんな時間に私に電話してくるなんて」
『警視庁関係者で頼れる方といえば貴方ですから
明智警視』
まさかこんな高校生の小娘の電話に出てくれるとは思わなかった。
本当に昼食時だったのだろうか?
明智「また何か事件に巻き込まれましたか?」
『いえ、違いますよ
実は調べてほしい人がいるんです』
明智「調べてほしい人…ですか?」
『えぇ
つい先日の兵庫連続殺人事件の犯人 八鶴 真央君の母親について調べてほしいんです』
明智「八鶴真央君の母親…
佐倉蓮華さんのことですか?」
『さくら……れんげ……?』
明智「えぇ
八鶴 真央君の遺体引き渡し先を探している際に過去の戸籍謄本上から見つかった名前ですが、もうこの方は17年前、18歳のときに死亡しています」
『17年前…!?
18歳…
つまり真央君が1歳に満たない時に…』
明智「えぇ…もう既に…」
『そんな…
蓮華さんの母親や兄弟姉妹は見つからなかったのですか?』
明智「もちろんそのあたりの身辺調査をしたのですが佐倉 蓮華さんには兄弟姉妹がおらず、彼女が亡くなった時、同じ車に乗車していた彼女の母親と父親も死亡したそうなのですよ」
『交通事故…?
呪われているのでしょうか…?』
明智「そう言いたくなる気持ちも少しはわかります
それにしても何故急に八鶴真央君の母親を調べてほしいなんて言い出したのですか?」
『私は…
真央君の止めれるはずだった自 殺を止めることができなかったんです』
明智「!」
『まだ未来のある若い少年を私は見殺しにしてしまったんです…!』
明智「待ってください
彼の自 殺は彼自身の意志だったはず…
貴方が悔やむことでは…」
『八鶴 真央君の正体を暴こうだなんてしなければ…彼を疑わずそのまま解放していれば……
推理なんてしなければ…』
明智「しっかりしなさい!」
『!?』
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年8月25日 16時