見習い奇術師の事件簿【薔薇十字館殺人事件】 (ページ8)

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八輪ページ8

改悛の意を見せるためには薔薇十字館という建物に出向かなければならない。

そうしなければ母親が死ぬ

遠回しな殺害予告である。

しかも招待状の受け取り主ではない母を狙うあたりこのローゼンクロイツという送り主は大変卑怯である。

だが見殺しにした命というのはあまりにも心当たりが多すぎる。

真っ先に頭に浮かんだのは全ての罪を洗いざらい告白した後に私達の目の前で飛び降りた少年

あの少年を追い詰めた責任は私にもある。

謎なんて解くんじゃなかったと後悔した。

もしかしてこの手紙を送りつけてきたローゼンクロイツという人は八鶴真央君の遺族の誰かなのかもしれない。

例えば真央君の母親とか…

加害者家族になるからという理由で養親の八鶴康二さん、腹違いの姉の八鶴惺空さんを手にかけたと語った。

真央君は自分を産んだ母親を手にかけたとは言わなかった。

そのため、彼の母親は生きている可能性が高い。

そう考えるととても怖くなってきた。

なのでこういった身辺調査をとある人に依頼しようと決めた。

だがその人は高い階級にいるのでこんな些細なことを引き受けてくれるかは分からなかった。

そして今日電話をするのは時間が遅いので失礼にあたると考え、明日に電話することにして、母が帰ってくるまでに青薔薇と手紙の入った箱を自分の部屋に持っていき、その後夕食を作るためにキッチンへと向かった。