六輪 ページ6
食事を終えた後、私達は本屋に行ったり、コスメショップに行ったり、ブティックに行ったりした。
私は一目見て気に入ったアイシャドウとチェック柄のスカートと更に薔薇に関する詩集を買った。
ちなみに詩集を買った理由は香澄ちゃんに強く勧められたから
詩集といえば相田みつをや金子みすゞぐらいしか触れたことがなかったのでかなり新鮮な気分である。
それにしても作者さんの名前が凄い
月読にジゼルとはキラキラネームの二乗である。
『あ、鍵かかってるってことはママ帰ってきてないな』
普段から夜中7時ならまだ職場の芸能スクールにいるはずの母なので当たり前ではある。
ということはおそらく郵便受けにも郵便物が溜まっているだろうな、と推測できるので郵便受けの中身を確かめた。
中に入っていたのが夕刊だけなら驚くようなことはなかったのだが、普段取り扱わないような細長い茶色い箱が入っていれば誰でも気に留めるはずだ。
しかも中身が異様に軽い。
よくわからない茶色い箱と夕刊を左手に持ってから右手で鍵を開けて家に入った。
夕刊はダイニングテーブルに置いて自分は謎の茶色い箱を開ける。
中には青いシーリングスタンプで封をされた手紙と紺碧の海や瑠璃を連想させる青い薔薇が入っていた。
しかも染色されたような跡が一切ない完璧な青色
薔薇には青い色素を生成するデルフィニジンが存在しないため自然にはできないと琴音ちゃんから教わった。
完璧な青い薔薇を世界で初めて作りあげられた薔薇は2年前の大火事で無くなってしまった。
あの日、私の誕生日の日に現れなかった姉に会いたくなり、姉を驚かせようと姉に内密で泊まったホテルは大火事によって崩れ去った。
私は出火元の9階あたりから離れた3階の部屋に宿泊していたため早いうちに救出されて悲惨な現場を直視することなく、命にも別状はなかったが、助からなかった人はかなり大勢いたと後のニュースで知った。
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年8月25日 16時