見習い奇術師の事件簿【薔薇十字館殺人事件】 (ページ37)

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三十七輪ページ37

春風「殺された山神文雄の前妻朝雲アイリーンの前夫冬野夕莉は妻の杏奈の兄でね…」

『！

その…

春風弁護士の奥様の…冬野杏奈さんは…

私の母朝雲アイリーンのことを憎んでいますか？』

春風「そうだな…

身体的な危害を加えられという言いづらいことを隠さずに危害を加えられた当日に申告してきたことはまだ褒められるとは言っていたよ」

『……』

春風「元々アイリーンさんと妻は仲が良くてね…

アイリーンさんが夕莉さんに離婚を申し出ていた時1番最後まで反対していたんだ」

『なんと…』

春風「だがしかし

堕ろすなんて殺人に等しい決断はアイリーンさんはできなくて、そしてもし子どもが生まれてきても夕莉さんとは一切血の繋がらない子を夕莉さんに育てさせたくないというアイリーンさんの意志は固くてね

慰謝料無し離婚からの山神に責任を取らせる形でアイリーンさんと山神は結婚してその後、君は生まれたのさ」

『……私

私は生まれて…』

春風「君は何も悪くないんだ

君は何も…」

『……』

春風「あの遠山と名乗る男は招かれたなんて言っているが本当は君を殺しにきたんじゃないか？」

『なっ！？

そ、そんなまさか…』

春風「君は自分の父親を殺した殺人鬼を庇うのか？」

『そ…それは…

あ、あの人は私を殺すためにここに来たわけじゃないんです！』

春風「何を根拠に…」

『あの人の元にも…薔薇十字館に来なければ実の妹を殺すという内容の手紙が届いたって…

あっ……』

春風「何故君がそんなことを知っているんだ？」

『そ…それは……』

春風「あの男は私達の前でそのような脅迫内容の手紙が来たなんて一言も言っていないのだが？」

『……』

春風「君と高遠遙一は一体どんな関係なのかな？

もしあの指名手配犯を匿っているようなことがあれば…」

『私は…

彼と2年前から知り合っていたんです』

春風「なんと…」

『そして今日

皆さんがホールに集まる前に彼から直接聞いたんです

なんでここに来たのかって

…そうしたら教えてくれたんです

私の元に届いた脅迫めいた手紙と同じく脅迫めいた手紙が届いた…と』