三十二輪 ページ32
八重姫「…あ 私はプリザーブドフラワーアーティストの冬野 八重姫
これは私の作品で手土産として持ってきたんです」
祭沢「ああ…それは失礼…
何分我が社は青薔薇の開発に四苦八苦しているものでこういった染色の青薔薇を見るとつい 余計な事を口にしてしまうのですよ」
『…？』
本当にこの2人初対面か？
「青薔薇の花言葉は“不可能”
この館に招かれた人達はみんなその不可能を見に来ているのですわ」
金「…え？」
『貴方は…？』
「私は花詠みの歌人 月詠 ジゼル
こちらで公開される青薔薇を詠んでみたくて蝶のように飛んでまいりました」
まぁ…本当に蝶々のように可愛らしい人
あれ…？
月読って確か…
金「出たっ！！
俺の苦手なプッツン系女！！」
『き、金田一君！
初対面の人になんて失礼なことを…！
つ、月読さんって薔薇の詩集出していらっしゃった方ですよね！？』
月読「え、えぇ…」
『やっぱり！
私詩集読んだことあるんです！
実際の作者様とこの薔薇に包まれた館で会えるなんて感激ですよ！』
月読「まぁ…！
ありがとうございます！」
「いやいや 花は薔薇ばかりではありませんなぁ」
月読「…どちら様でしょう？」
どこからか酔っ払った男性の声が聞こえてきたので声の主を探すと、やはり右手にワインの入ったグラスを持った男性がいた。
「私 薔薇園を経営している小金井 睦と申します
薔薇の香りがするワインを持ってまいりましたのでよろしければご一緒に一杯！
今夜は“美女”と“青薔薇”
二つの極上の花に酔いしれるとしましょう」
金「真っ昼間から相当飲んでんなぁ…」
美雪「あ〜 あたしこっちの方がダメ！」
お酒飲めない未成年がいる場で酔っ払われるのはちょっと……ね
遠山「ずいぶんと気の小さそうな男ですね
酔わないとやっていられないほどの何かがあるのかもしれませんよ」
金「どういう意味だよ？」
遠山「さぁ…
ただ君も薄々感じているのでは？
彼らが各々口にしているここに来た理由に
違和感がある……と」
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作者名：ロンヌ | 作成日時：2022年8月25日 16時
