二十九輪 ページ29
白樹「八鶴…？」
佐久羅「その特徴的な名字聞いたことあるような…
あ！
八鶴って千代田区の自宅で17歳の息子に殺されてその息子が兵庫で自 殺したって先週あたりからニュースになってた…
ってことはその八鶴社長の息子が…」
『えぇ…
彼は全ての罪を悔いて私達の前で命を絶ったんです…』
白樹「そんな…」
佐久羅「まさか君が八鶴社長の息子さんの自 殺を見ていたなんて…」
『見殺しにしてしまった罪は重いですよね…
命は一度失ってしまえば2度と取り返せないものですから』
佐久羅「……」
白樹「……」
このさくらさんの反応からして真央君の存在を知らなかったと見るのが一般的なのだろうが、私は17歳の少年が腹違いの兄の曽祖父曽祖母を祖母とする女優の朝雲アイリーンと、その娘の私まで調べ上げている前例があるので油断ができないのである。
『…さくらさん
17年前、夫婦と子持ちの18歳くらいの娘さんが交通事故にあったという話を聞いていたりしませんか？』
佐久羅「じゅ、17年前の交通事故！？
それって俺がまだ11歳ぐらいの頃じゃねぇか…
しかも当時子持ちの18歳の女の子が巻き込まれたって…
そんな酷い話が…
いや待てよ…
そう言えば11歳の頃俺は父親に連れられて3人が同時に亡くなった葬儀に参加したような…」
『なっ！？』
佐久羅「だけどなんでこんな話を俺にしたんだ？」
『…それは
八鶴真央君が八鶴社長に引き取られる前の名字が佐倉だったそうなので何かさくらさんに関係があるのかな〜と』
佐久羅「！
ちょ、ちょっと待ってくれ…
確か父の姉は親父よりも早くに結婚して娘さんがいて…
叔母は確か結婚してからも名字の読みが変わっていないって言っていたような…
俺の名字の佐久羅は
佐賀県の佐に
久しいの字でくと呼んで
羅生門の羅で…」
『なんと…同音異字名字
そんなことが…』
佐久羅「待てよ…
じゃあ俺にあんな手紙を送りつけてきた奴は叔母の孫を引き取らなかった父の息子である俺を本当は恨んでいる奴…？」
『あんな手紙…？』
白樹「ちょっと待ってください
父の姉の孫を引き取らないことを決めれたのは佐久羅さんではないはず…
そのことで恨んでいるのなら佐久羅さんのお父さんを呼び出すはずでは？」
佐久羅「そう言われてみればそうですね…」
『じゃあ…
私達がこの薔薇十字館に招かれた本当の理由って一体…？』
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作者名：ロンヌ | 作成日時：2022年8月25日 16時
