見習い奇術師の事件簿【薔薇十字館殺人事件】 (ページ26)

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二十六輪ページ26

『…で

妹を守るためにここに来たというのは本当なの？』

高遠「えぇ

私が来なければその妹を殺す…とね

犯罪芸術家地獄の傀儡師に対してこれは許しがたい屈辱ですよ…」

『……なるほど

で、

その妹さんの見当はついているの？』

高遠「いいえ

存在すら知らない腹違いの妹です」

『腹違い…か

で、殺人や殺人教唆ばかりをする死神みたいな貴方がその妹さんを守る…

本当にその妹さんを守れるの？』

高遠「そう言われると思いましたよ

しかし、何も対策を打たないほど私は無策な人間ではありません」

『…というと？』

高遠「私が警察に出頭する代わりに金田一君に妹を守ってもらうことにしたのですよ」

『はっ！？

そんなまさか…

そんな頼みを金田一君が聞くはず…』

高遠「私という殺人鬼を捕らえられる絶好のチャンスですよ？

彼が見逃すと思いますか？」

『そう言われると……

うーん……』

高遠「あぁ一つ大事なことを言い忘れていました」

『大事なこと？』

高遠「私はここではフラワーアーティストで金田一君の友人遠山遙治です

くれぐれも間違えないように」

『なるほど、金田一君の友人という言い方はかなり引っかかるけれど…

薔薇十字館に招かれそうなお誂え向きの職業ね

奇しくも…

先週貴方が化けていた男性も同じ職業だったそうだけど』

高遠「えぇ」

『でもね

この薔薇十字館に招かれる…花を扱う人がやたらと手が綺麗なら疑われる…とだけ言わせてもらうわ』

高遠「！」

『まぁそれか今の私のように手袋をしておくとかね』

高遠「そういえば貴方今日はずっと手袋着用していますね」

『棘が怖い…とだけ言っておくわ

薔薇の棘は花の女王に触れる愚か者に下される天罰よ』

高遠「なるほど

毒薔薇の棘で母親が殺されることを恐れる貴方らしい発言だ」

『私はローゼンクロイツ氏の正体が何一つわかっていないけど…

美しい薔薇には棘があり、その棘を恐れず突き進んでしまえば何かとんでもなく、私が想像しているよりも最悪な末路を辿りそうな気がするのよ』

高遠「いつになく弱気ですね」

『！

そんなわけ…』