二十三輪 ページ23
『うーん…
やっぱりちゃんと真南に進むはずなのにずっと南東方向を指してる…なんでだ？』
遊技場なら何か磁力があるものに反応していて方位が狂っていたのかという解釈もできたのだが、東側にワインセラーや倉庫があるくらいの廊下ででも何故か方角は南東を示していたので、方位磁石が壊れてしまったのか…と気分は落ち込んでいた。
ワインセラーと倉庫を通り過ぎた次にやってきた部屋の中にはまたもや長い螺旋階段があった。
これをのぼったら一階に帰れるのかな…と浅はかな期待を抱き登ったのだが登った先の部屋は随分と荒れていた。
机だけは無事だがタンスの中身やタンスの引き出しがかなり放り出されてしまっている。
ローゼンクロイツさんがこの部屋を使わなくなってかなり長いのだろうか
そして北側と西側に扉がある中、北川の扉を開けて廊下に出ようと思ったのだが扉は釘で打ちつけられていて開きそうにもなかった。
螺旋階段を使って地下一階に降りようとする前に方位磁石を見たのだが、私が進もうとしている方向は北西みたいだった。
いよいよこの方位磁石もダメか…と肩を落としていると誰かが螺旋階段の下の部屋の扉を開ける音が微かに聞こえてきた。
こんな荒れた部屋に1人でいるのが見つかるとまずい…と思ったので私は開かずの扉の東側にあるタンスの陰に隠れることにした。
扉を開けただけならよかったのだが、何故か螺旋階段を登ってくる音まで聞こえてくる
これは流石に見つかった時が気まずい…と思って更に身を潜めたのだが、足音の主は先程私が触ろうとした扉前までやってきた。
まずい…
もうこの場所から移動したら足音でバレる…
せめて右側足軸で回転してくれ…！
といった私の願いは叶わず、足音の主は左足を軸に回転し、部屋の北東部のタンスの陰に隠れていた私と目があった。
そこで私も初めて足音の主の顔を見たのだが、その顔を見た途端、なんとかして抵抗しようと、知らない人からしたらただの乾電池にしか見えないとある物をとりだし、足音の主に向けた。
もちろん足音の主はこの道具の正体がわかっているので一歩後ずさった。
それを確認してからロックを外し、細長い棒状になったそれを、足音の主に向けた。
『何故ここにいるの？
高遠 遙一…！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロンヌ | 作成日時：2022年8月25日 16時
