見習い奇術師の事件簿【薔薇十字館殺人事件】 (ページ20)

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二十輪ページ20

『私ね

その友達が起こした事件に巻き込まれたの』

八重姫「えっ…」

『その友達とはたったの一年しか関われなくてね

でも、私が数学をできるようになったのは彼のおかげだったから友達であり恩人のような存在だった。

彼の全てを知っているなんて口が裂けても言えなかったけど…

少なくとも殺人なんて許されざる罪を犯すような人じゃなかったんだよ』

八重姫「……」

『殺人を決める人の心はもう折れてる。

2度と修復できない、癒せないって痛いほど思い知らされたよ

そして…

善良な心を持っていた人が人殺しを決心するに至るまでに

なんらかの許されざる犯罪によって苦しめられた末に道を踏み外すんだって』

八重姫「……」

『ねぇお姉ちゃん…

人が道を踏み外したり、自分から命を絶とうとするのを見過ごしてしまったことってどうやったら償えるの？』

八重姫「なっ！？

そ、そんなの…

そんなことまで自分自身の責任だなんて悩むこと…」

『似たようなことを最近再開できた恩人の人から言われたなぁ…』

八重姫「ねぇA

あなたちょっとおかしいわよ？

前までそんな悲観的に物事を捉えたり、ずっと落ち込んだりすることなかったじゃない」

『やっぱり私どこかおかしくなったのね…』

八重姫「A…

あなた別にずっと完璧な善人でいようとしなくてもいいんじゃないの？」

『ずっと完璧な善人…か』

八重姫「まぁ…私が言えたことじゃないんだけどね」

『？』

八重姫「そうだ

私この館の主人への手土産に青薔薇のプリザーブドフラワーを持ってきたのよ

ホールに飾ってあるから見にきて」

『お姉ちゃんの作品！？

見る見る！』

折角姉妹の再会が果たせたのだからあまり辛気臭い話ばかりで時間を潰さない方がいいな…という考えなのか私はすぐに立ち上がってお姉ちゃんについて行った。