見習い奇術師の事件簿【薔薇十字館殺人事件】 (ページ18)

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十八輪ページ18

八重姫「ナイスな気遣いだったわね！

A」

『ん～

まぁあのくらいの年の子がお父さんと一緒の部屋に泊まったらかなり気まずいだろうな～って思ったの

というかお姉ちゃんこそ無理言ってごめんね

夜寝る時絶対狭いよねこれ』

八重姫「まぁアンタ細っこくて小さいから大丈夫よ」

『うっ…

そっか……私小さいか……』

八重姫「私からするとアンタはいつまでも小ちゃくて可愛い妹なのよ」

『そう……なの？』

私そんなに可愛がられるべき人間なんだろうか…

『ねぇ…お姉ちゃん』

八重姫「ん？」

『お母さんが私を身籠ったせいでお姉ちゃんはお母さんと離れてお父さんに引き取られることになったでしょ？

それに…

私が2年生に上がる前、

私のせいでお母さんは軽井沢に引っ越すことになってお姉ちゃんは気軽にお母さんと会えなくなった。

小学生の夏休み…東京に行った時、お姉ちゃんは私を温かく迎えてくれたけど…

本当は恨んでいるんじゃないの…？』

そう、私が生まれる前…

母と父が関係を持ってしまった…母曰く父に襲われてしまったことにより、母と八重姫お姉ちゃんの父の冬野夕莉さんとは離婚することになった。

お姉ちゃんの親権は夕莉さんが持つことになった。

この女性も男性も耐え難い屈辱の上に生まれた子どもが私ということで、母は私を夕莉さんの子どもにしたくないと夕莉さんに直接申し出たらしい。

夕莉さんは現在検事総長にまで上り詰めているとんでもない法律のスペシャリストなので、私の戸籍関係の法律手続きは全て完璧にこなしてきたそうだ。

ちなみに私は離婚後300日以内に生まれた子どもなので出生届の父親の欄には冬野夕莉さんの名前が書かれている。

だが前述の通り母の申し出もあって、冬野夕莉さんは嫡出否認の訴えをしたことにより、私の法的な父親は山神文雄になったのだ。

私は生まれてから3回名字を変えたことになっている。

お姉ちゃんのお父さん、冬野夕莉さんの子どもとして生まれた私だが、お姉ちゃんにとっては全く血の繋がらない男性が父親の妹でその妹が自分と血の繋がった母親を奪ったのは間違いないのだ。

特に私が1年生の時襲われかけた事件のせいで母と父と共に軽井沢に引っ越したのはお姉ちゃんからしたら母親を奪ったという1番苦い記憶になっているはぶなのだ。