十八話 ページ18
ゴーン ゴーン
『!』
その鐘の音は夜の8時
つまり、晩餐会の始まりを告げる音であった。
ガラガラガラ
その物々しい音は14人分のクロッシュを乗せたカートを運搬する音であった。
そしてそのカートを運搬してきた金髪と黒いマントを纏ったドラキュラのような仮装をした男性こそ、紫陽 ネオさんだということはすぐにわかった。
アイリーン「紫陽 ネオさんだわ!」
花川「綺麗な人…」
春風「そうね」
世間から美形料理人と評されるだけあって心に決めた人を持たない花川さんや高山さんは紫陽さんの容姿を称賛していた。
紫陽「本日は遠方よりはるばる来てくださりありがとうございます
私 本日の晩餐会全ての調理担当をさせていただきました紫陽 ネオです」
遠方から来たって知ってるってことはアーサーさんとは紫陽さんのことか?
紫陽「皆さま 料理を配る前に見ていただきたいものがあります」
『見ていただきたいもの?』
紫陽「この館の主人 アーサー様の宝物に今後の豊作の祈りの黙祷を捧げましょう」
バサッ
ノエル「ヒッ…!」
アイリーン「な、何あれ気持ち悪い…」
紫陽さんが取り払った黒い布の下に隠されていたのは首から上、骨盤から下あたりがない体の模型であった。
しかも腕や腹あたりには黒く尖った鉱物のようなものが10本ほど突き刺さっている。
そしてアーサーさんは紫陽さんの別名ということではないみたいだ。
紫陽「こちらは農作物や水を巡って戦い、鏃が突き刺さったまま見つかった弥生人の人骨から着想を得てアーサー様が作った人体模型です。
そして本日は古くから収穫祭とされてきたハロウィンの日です。
食は人が生きる上で当たり前の行為であり、食を追求することは美徳であり、食のために人は争ってきました。
収穫の犠牲となった方々に黙祷を捧げましょう…」
金「な、なんだこりゃ
めんどくせ〜」
美雪「はじめちゃん 文句言わない」
なるほど…弥生人か
確かに弥生時代から稲作が始まり、収穫の概念が固まり、格差が生まれて本格的な争いが始まったとも言われているよな…
収穫祭という説のあるハロウィンの日に、収穫の犠牲となった弥生人を使うとは粋なのか?
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紫陽 ネオ
天才料理人
30歳
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年7月17日 0時