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10話 ページ10

高遠さんは私に嘘をついた。




それを見破れたのはあの、名前に隠し事をする人間らしい間の開け方であった。



真の名を明かしているのだから真の名が返ってくる保証なんてないのである。


私は馬鹿だ。


彼は兄と容貌が瓜二つでも、その内面まで同じとは言えない。



契約違反をすれば今度は私が命を狙われる。



兄と違って彼が完全に味方してくれるとは言えない。



それがどこか恐ろしくて無い神に縋るように、不安に押しつぶされそうになったので兄達と両親、私が映った写真付きのロケットペンダントを握りしめる。



これからもう二度と会えない家族達との思い出を写した首飾りを何度握るかわからない。



ロケットペンダントは私が握ったくらいでは一度もヒビや数が入らなかったが、握りしめるという行為が、家族を締め上げているようで心が痛む。



死の願望を叶えようとした私を救った高遠さんの真意はわからないが、私の誰にも打ち明けなかった復讐心をうまく汲み取った彼に最後まで従いていこう。





夜叉は孤独じゃない。









従くべき毘沙門天(かみ)がいる。

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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年7月4日 23時

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