金色夜叉と傀儡師 (ページ7)

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7話ページ7

『お風呂ありがとうございます

えっと…

傀儡師さん』

「おや、

そういえば私の名前は教えていませんでしたね」

『はい。

私だけが本名を知られている状態です』

「おや、あの名前は本名でしたか」

『えっ

あなたが調べたのでは？』

「実はあなたの名前は私自身が調べたものではありませんし本名だという確証もありませんでした」

『えっ』

「あなたを助けた三浦夫妻達が私の潜んでいた教会での参拝中に何度も口にしていた名前だったのですよ

A・ペトロヴィッチに栄光あれ、戦で荒んだ心が安らかになれ、孤児のあなたに再び家族の愛を…と」

『三浦さん達が…！？』

「そして彼らが参拝に来る2年前から旧ユーゴスラビア国内でパッタリと目撃情報が途絶えた金色夜叉

戦で荒んだ国内の闇社会でまことしやかに存在が噂された金色夜叉は親兄弟を失っている子どもだという不確かな情報をかけあわせて

A・ペトロヴィッチは金色夜叉であると仮定してきたのです」

『…！』

知らなかった。

まさか自分が本名を名乗っていなくても三浦さん達が私の名前を外に出していたなんて。

『私が三浦Aを名乗れるようになったのはほんの今月8月中旬からのことよ

その前にあなたと三浦さん達が会っていたならば、三浦ルフェではなく、A・ペトロヴィッチの名前を口外していても何もおかしくない。』

「ほう、そのような名を名乗っていたのですか」

『本当に私の本名ぐらいしか知らなかったのね…』

「まさか恩人との家族関係を明確に表す名を名乗っているとは思いませんでしたよ」

『家族関係を明確に表す名……ね

まぁそれは…

私がクロアチアから日本に来てちょうど1年以上が経過して、三浦さん夫婦との養子縁組を組むことができるようになったからね』

「金色夜叉の情報や噂が絶えたのは日本に逃れたから…だったとは

旧ユーゴ国内の闇社会の住人達が知れば度肝を抜かれることでしょうね」

『私、闇社会の住人になんか目をつけられるようなことしていないのに…』

「凄腕の殺人技術を持った子どもはいつの時代、どの国でも、血の滲む苦労をしない大人達から狙われるものです」

『うわぁ…

それ私が1番嫌いな大人そのものだわ…』