21話 ページ22
『ごちそうさまでした!
こんなに美味しい夕食は初めてです!』
「それはよかった」
結局あの後深いため息をついた高遠さんに「夕食をすぐ作るから待っていなさい」と言われ、私は食卓で1人、夕食が出来上がるのを待つことになった。
そして高遠さん1人で作り上げた夕食は、どれも目を見張るほどに素晴らしかった。
もちろん見た目だけでは無い。
味も程よくつけられていて、元気がない人でも完食できるくらいには絶品であった。
「さて、食後に一つ
あなたが求めてやまない情報をお伝えしましょう」
『求めてやまない?』
「紫陽 ネオ についてですよ」
『!
あの男…!
やはりまだ生きていたのか!』
「ええ
今は日本一の料理人として名を轟かせていますよ」
『は?
私の両親の命を奪い辱めたあいつが人の命を繋ぐ食べ物を扱う料理人…?』
「あなたの両親だけでなく、彼には3年前の大会の頃から黒い噂があります」
『黒い噂…?』
「事故が起きたのですよ
彼の対戦相手の女性が作った食べ物を食べた審査員が、大会中死亡しています」
『なっ!?
それって毒殺!?』
「ええ
亡くなった審査員からはカエンタケという毒キノコが検出されました。
これを受けて、彼が食べた料理を作った女性が疑われたのですが…
彼女は警察からの取り調べを終えた数日後に自ら命を絶っています
そして彼は彼女に敗北した準決勝から一転、
大会優勝者となりました」
『そ、それってまさか…
あの男が何か!』
「これ以上はまだわかりませんが…
あなたのように彼への憎しみを持った人物はいます。
亡くなった審査員の遺族
亡くなった女性の遺族…などね」
『くそっ……あの男!』
私が憎む相手はどこまでも下劣だということを思い知らされた気がした。
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年7月4日 23時