金色夜叉と傀儡師 (ページ18)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:3,777 hit

17話ページ18

「あなたの本当の敵は世界では？」

『急に話が壮大になりすぎよ』

何故彼女が紫陽ネオのみを復讐対象にしているのか非常に謎である。

ここまで道行く先で自分の関係者が殺されればもっと大きな復讐心を抱いてもおかしくはない。

いやでも彼女並に行く先々で関係者が殺されている忌々しい宿敵の少年もいるが。

『世界に復讐してやる、なんて完成のない芸術は嫌い。

人は終わりがあるからこそ美しいのよ

だけど…

両親の命を醜い形で終わらせて、何事もなかったかのように逃げたあの男だけは殺す』

まさか芸術を語れる脳があったとは…

そして人の終わりを美しいと言えるのは「死」を見すぎて感覚が狂ったからこそ生まれた考えかもしれない。

「完全犯罪」による芸術も教え込みたいところだが、彼女にはそれ以前に学んでもらわないといけないことが沢山ある。

そのために必要なものを本棚から探し出す。

あるかどうかの記憶は定かではなかったが、無事に見つかったので彼女に渡す。

『…これは？』

「あなたには復讐よりも前に学んでいただくことが沢山あります。

第一は言語です」

『えぇ…』

「嫌がっている場合ではありません。

英語やクロアチア語を町中で饒舌に話すと、運悪くターゲットに聞こえてしまって、あの時の生き残りが来たと気付かれるぐらいは想定しなさい

復讐者は相手に決して恨みを気付かせることなく、狙いを定め、実行するのが基本です」

『た、たしかに…』

「その対策を果たす和英、英和の機能を持った辞書です。

分からない言葉はそれで調べて覚えなさい」

『私にできるの…？』

「フッ

できるかできないかではありません

やるのです」