13話 ページ14
『……
紫陽 ネオは教会の席の最前列にいた私達家族以外を撃ち殺した。
私達家族以外の見知った人達が撃ち殺されている間、父が私達兄妹にこんなことを言ったの
〔死体のフリをしておけ〕って』
「よくある生き残り方ですね。
あなたが今生きているということは死体のフリは成功した、と捉えていいんですよね?」
『ええ
私達は最初戸惑った。
私は できるわけがないって父に訴えた。
だけど1番上の兄、ルイ兄さんが「俺が2人を庇って死んだ演技をするから大丈夫」と言って、私ともう1人の兄はルイ兄さんの下に隠れることにしたの
ルイ兄さんを含めた家族写真を見せてあげる。
あなた開いた口が閉まらなくなるかもよ』
「ほう…
私にそこまで言いますか
……なっ!?」
『あはは
思っていたよりかは驚かなかったけどやっぱり驚いてくれた』
「私が今より幼いあなたと写真を撮ったのかと錯覚するほどでしたよ
家族全員が揃っているということは8年前よりも前ですか…」
『私が小学生になってすぐ、
生まれ故郷クロアチアが紛争地になった1991年より前に撮った写真よ』
「…あなた生まれてから10年も経たない内に争いに巻き込まれていますね」
『生まれた瞬間から戦争が生活の中心だった子だっているくらいよ
私はまだ幸せな方だわ
殺人者のあなた的には憐れんでいるつもり?』
「さぁね
そこはお得意の察知能力を使ってみなさい」
『私が察知できるのは言葉に潜んだ嘘くらいよ
さとり…だっけ?
確か心が読める妖怪が日本にはいるんですってね。
そんな彼らのような超常的な能力は残念ながら持っていないわ』
「あなた日本語が流暢に話せていると言うにはあと一歩足りていないにも関わらず、何故か日本人でも知らない者がいる生き物や文学については詳しいですね」
『なんか今日本語で喋ったのはわかるけど、あなたの表情から見てものすごく馬鹿にされたような気が…
英語で言い直してよ』
「だめです。
自分で調べなさい」
『んなっ!?
意地悪め…』
「いい性格をしている、と言いなさい」
『どこがいい性格だ
この殺人者』
「あなたも同じです」
『……』
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「いい性格をしている」と「性格がいい」は全然違う意味です。
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年7月4日 23時