1話 ページ1
いっそのこと楽になりたかった。
だから雨の夜、雨風凌げる建物を飛び出して裏山に入った。
故郷で死にかけていた私を助けてくれた2人は、私を助けてすぐ命を落とした。
その人達だけじゃない。
私を助けて死んだ人は2人だけじゃない。
だけど…
彼らの仇討ちを果たさずに死ぬのは嫌だ。
せっかく母と父の仇が逃げのびてきているはずのこの国に来たのに…
助けてなんて今更言いたくない。
助けてくれる人なんていない。
どうせまた少し前と同じになるだけ。
また1人で生きのびればいい。
だけどこの国は私の故郷ほど荒れ果ててはいない。
故郷の言語は通じないし、もう一つの話せる言語を理解してくれる人が現れるかどうかも怪しい。
ならば…
ならば……
「死ぬ前にしなくてはならないことがあるのではないですか?
お嬢さん」
『……え……』
ナイフを持った私の左手を握り返したた手は生きている人間のもののはずなのにどこか冷たい。
『あなたは…
だれ?』
「私の名前は〔地獄の傀儡師〕
この世で無念の死を遂げた〔死者〕の声を聞く
地獄の使者ですよ」
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年7月4日 23時