見習い奇術師の事件簿【黒魔術殺人事件】2 (ページ28)

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秀央市殺人事件13 ページ28

天津駅から２つ西にある秀央駅で降りる。

少し懐かしさのある風景を楽しみたい気持ちを押し込めて、1年と数ヶ月お世話になった高校へと向かう。

「朝雲さん！？」

『和島先生！お久しぶりです！』

この高校に来て一番お世話になった先生こと、「秀央のワトソン」和島先生にものすごい幸運故に会うことができた。

その和島先生にとある先生がまだ校舎にいるか聞く。

和島先生曰く、今日は部活動がないからいる、とのこと。

土曜日に部活がない陸上部とは珍しいが、そうでないとそもそも今日の出来事が起こっていなかったのである。

そして私は急いで職員室に向かい、陸上部の顧問の先生を見つけ、とあるお願いをした。

「え？

体力測定の記録が残ってるかだって？」

『お願いします！

できれば1年の時の分があれば嬉しいのですが…』

「うむ…

あ、朝雲達は記録めっちゃ優秀だったから保存してたな」

『本当ですか！？

ありがとうございます！』

「まぁ5分くらい待っといてくれや」

『はい！』

これで決定的な証拠の一つが揃う。

そして5分経つか、経たないうちに2枚の紙を持ってきて下さった陸上部の先生。

ありったけの感謝の言葉を伝えて、私は職員室を…秀央高校を後にした。

あと一つ、保険として欲しい証拠を得るために、私は今通う不動高校へと向かう。

そちらでは秀央高校よりも早くに、証拠品を得ることができた。

不動高校周辺のカフェに入り、仕上げの電話をかける。

『もしもし、お忙しいところ失礼致します。』

「そんな堅苦しい挨拶はいらないよ。

君は僕の娘の妹、

僕にとって大切な娘も同然だから」

『……ありがとうございます。夕莉さん』

思わず涙腺が緩んでしまうかと思うほどの優しい声

私と同じお腹から生まれてきたお姉ちゃんのお父さん

私とは一才血の繋がらない男性

『夕莉さん、実はおりいって頼みたいことがあるのですが…』

夕莉「お父さん、とだけ呼んでくれたら引き受けてあげよう。」

『……お父さん』

しかし何故私の周りにいる大人達は一々呼び方にこだわるのか…謎である。

夕莉「いいよ。できること全て引き受けよう！」

『ありがとうございます！』