No48 ページ11
『そんな…
あれは本当に、
本当に事故じゃなかったの?』
研「俺だってそう考えていた。
あの封書を見るまでは…」
その研太郎君の運命を大きく歪めた封書が届いたのは軽井沢で立ち上げたコンピュータシステムの会社の経営が順調になってきた頃だったと言う。
その封書には「井沢家一家殺害事件レポート」と書かれていたらしい。
研「その奇妙なレポートは事件についてではなくなぜか、火祀コーポレーションとその一族について詳しく書かれていた。」
この葡萄の館で殺された2人と星子さんは借金まみれだったという情報が載っていたと言う。
だがそんな彼らは潰れかかっていた経営者の養子になり、その会社は研太郎君の家族が命を落とした事故の翌月、一気に三千万円もの負債を返済したのだと言う。
それに対して、研太郎君のお父さんが家を買うために引き出した三千万円は行方知れず。
この2つの結果に不穏な因果関係を感じた研太郎君は自分自身を火祀コーポレーションに売り込んだと言う。
自分の家族の仇かもしれない人達に自分を売り込むなんてあまりにも恐れ入る。
そして研太郎君は思い切って、青竜社長の前で〔排ガス逆流事故で両親を亡くした〕と打ち明けたと言う。
すると青竜社長は明らかに顔色を変えた…と。
その青竜社長を見て嫌な予感が的中しているかもしれないとふんだ研太郎君はこの「葡萄の館」に盗聴器を仕掛けてシッポを掴んだと言う。
研「あいつらはそれぞれ自分のパソコンに10年前の日付の入った「誓約」というファイルを隠し持っていた。
俺はパスワードで厳重に封印されたそのファイルにハッキングした!
その映像ファイルはまさに犯罪を犯した者同士が共有する
「血判状」だったんだ!」
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年6月24日 12時