見習い奇術師の事件簿【獄門塾殺人事件】 (ページ14)

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13話ページ14

金田一君によってある程度の推理が終わり、一度は落ち着いたことによりほとんどの人達は帰る準備を始め、教室を出ていった。

私もそんな彼らに乗じて教室を出た。

見学初日にして殺人事件を目撃してしまったことを多くの人から憐れまれたが、時間が経つにつれてパパの惨殺死体よりかはマシだと、随分壊れた考えに至ってしまった。

(早く帰って今日はゴロゴロしようかな…)

スパルタで恐れられる塾の中で考えることとしてはあまりに不釣り合いなことを考えたときだった。

ポンッ

『え？』

誰だかは分からないけれど、この手の当て方は私が親しい友人達に行う親しみを込めた当て方とは全然違うものに感じてしまった。

呼びかけに似た触れ方じゃない。

これはどこかに引きずりこもうとするような…

だからこそ後ろを振り返ることが怖かった。

「見学早々大変なものを見ましたね。」

『赤尾……先生……』

ゴムマスクにゴム手袋

その姿を初めて見たとき、怪しいとしか思えなかった赤尾先生だ。

『……そういう赤尾先生は余裕そうでしたね？』

「貴方は随分と怖がっていましたけどね。」

『…余裕を保っていられたのは

貴方の計画通りだったから？』

ほんの少し、この無表情教師に効果があるとは思えないカマをかけてみた。

間違いならばとてつもなく恥ずかしい問いかけだ。

こんな小娘の戯言聞いてすらいないかもしれないが。

「随分と察しがいい…

というよりはなんでも疑う性格が功を成すようですね。」

待ってくれ。

まさかはぐらかすことでもなく割と真っ当な返答が来るか？

私と先生は初対面の……

はず…？？

でも…

彼の声はなぜか懐かしく聞こえる。