生きたい、生きたい、死にたくない【鬼滅の刃】 (ページ1)

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藤の花が咲き乱れる山に白銀の髪の人間が一人

太陽が燦々と照りつける中、少女は力が抜けたように、足を引きずって歩いていた。

「早く…早く戻らなきゃ……」

少女の名をAといった。出生はおろか、親の顔もわかっていない。

白銀に光る腰に届くほどの長さの髪、光の当たり方によって色が変化する瞳、お世辞にも良い身体とは言えないほどやせ細った身体…。

特徴をあげればきりがない。

なぜ最終選別でも無い時期に藤の花が咲き乱れる山に人間がいるのか。

少女は落ちかける日を背に洞穴へ身を隠した。

「そろそろ食料が無くなってくる…どうしよう、
死んじゃう……」

寒くもないのに身体をぶるぶる震わせる。

……鬼殺隊員の間でこんな噂が流れている。

藤の山には藤の香りを身にまとった人間が棲みついており……出会ったが最後、殺される……

定期的に藤の山を偵察しに行った鬼殺隊員の半数以上が未だ行方不明だということがその噂を裏付けている。

そして彼らが一等恐れるのが最終選別だ。

鬼に加えてその人間にも注意を向けなければならないからだ。

今までに鬼とは違う殺され方で見つかった遺体は三桁にものぼる。

そして、今年もついに、最終選別の時が訪れたのだった。