キミの隣 ページ28
坂田side
Aは僕が話しかけても一言しか返ってこなくて、楽しくないのかな…なんて不安がよぎる。
彼女とちゃんと会うのは一週間半ぶりぐらい。
まぁあのライブのとき、僕が見たのはノーカウントにして。
……Aに浦島坂田船のことちゃんと、聞いてみよ…。と心に決めもう1度Aに声をかけようと僕のななめ後ろを振り向いた。
そうしたら後ろから結構なスピードが出ている自転車がこちらに走ってきた。
どうやらAは気づいていないらしい。
僕は咄嗟に彼女の手を握り、こちらへと引き寄せた。
そうすると思いのほか彼女は軽く、ただ引き寄せるだけだったつもりがAを抱きしめる形になってしまった。
予想以上の展開に僕の心臓は超スピードで動き始めた。
『…っ』
そんなとき焦っている僕と違う心臓音が聞こえた。
どうやらそれはAのようだ。
(……Aも意識しとるのか…?)
自分の口角が無意識だが上がった気がした。
Aと離れたが、僕は彼女の手を握ったままだった。
困ったようにする彼女が可愛くてしょうがない。
……いやって言われたら、手は離すけど…。
と少し不安になったところでAが手…と呟いた。
僕は彼女の手を握っていた力を緩めた。だが、手は離れることは無かった。
『い、嫌では無いです…!!』
そうはっきりと言った彼女は僕の手をぎゅっと掴んだ。
目をそらさずに見てくるので、僕はそれに耐えきれなくなって目を逸らしてしまった。
そしてAに見えないように自分の手で顔を覆った。
顔に熱が集まるのが分かる。
(あっつい……)
フゥーッと小さく息を吸って吐いて…
僕は彼女の手をぎゅっと握り返して、少し余裕を見せて笑いかけた。
「…ほんなら、デートしよか」
僕がそういうとAは顔を真っ赤にして、コクンと頷いた。
あぁ、ほんま僕はこの子が好きなんやと。改めて実感する。
……僕は素直に頷くキミに期待しちゃってもええよな?
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年2月20日 20時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - 寂しい、、出来れば番外編を、、、お願いしますぅ、、一生のお願いです! (2019年9月28日 17時) (レス) id: 5f1c65421c (このIDを非表示/違反報告)
スイカ(プロフ) - うるさん» センラさんからこちらにも!!ありがとうございますっ!!そういって貰えてハッピーです!!これからも頑張りますね! (2019年9月24日 23時) (レス) id: e51077db8a (このIDを非表示/違反報告)
うる - センラさんの方から来たものですがやっぱりスイカさんの話面白いですね、完結おめでとうございます! (2019年9月24日 6時) (レス) id: 80ab37ec91 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - スイカさん» レスありがとうございます!めちゃ応援します! (2019年9月23日 16時) (レス) id: 8b66a12330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スイカ | 作成日時:2019年8月8日 7時