ムラサキに染まって。

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放課後になり怜央くんの教室を覗く。


お昼の時に、来てと言われたから。


あまり普段は行かない教室。

いつも怜央くんがわたしのクラスに来てくれるから。


えーっと怜央くんはどこだ？

まだクラスには人が沢山いる。

席の場所くらい聞いておけばよかったと少し後悔。

きょろきょろ覗いていると目が合う女の子。

岸さんだ。


かなり気まずくて思わず目を逸らす。

でも怜央くんを探さなければならないので、また前を向く。

視線を痛いほどに感じる。

なるべく目を合わせないようにしながらも怜央くんを探す。


その時みつけた怜央くん。

A「れ、おくん？」


小さく名前を呟けば、視界に捉えたのは見たくもない世界。


怜央くんが、


怜央くんが、




その場をそっと後にして走りさる。



きっと夢だよね。


わたしの見間違いだよね。


だけど、無理だよ。



学校内と言えど行く場所も限られていてひっそりとした音楽室へと入る。


今日は部活もないみたい。


ピアノの影にうずくまり、さっきの光景を思い出す。


ねぇ怜央くん昨日の幸せは何だったのかな？

怜央くん。


教室で捉えた怜央くんはポッキーゲームをしている最中だった。

いくらゲームだとしても断ることくらい簡単じゃないのかな。

怜央くんは断ることもしない優しい人だよ？

だけど、彼女いるのにそーゆうことするの？

相手は怜央くんのことを中学の時から好きだと有名な子。

ねぇキスしちゃった？

岸さんの視線はもしかしたら帰れって言うことだったのかもしれないと今更になって思う。

きっとそんなことは無いのだろうけど。



A「っ……う」


自然と涙が溢れる。

もう嫌だ。

永瀬くんのことを一瞬でも想ったからバチがあたったの？





その時音を立てて開くドア。


ほら、こんな時に来るのは


A「永瀬くん…」



怜央くんじゃなくて永瀬くんなんだ。








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