ムラサキに染まって。

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日もくれてそろそろ帰る時間。

A「帰りたくないなぁ」

ぽつりとつぶやく。怜央くんと一緒にデートなんて久しぶりすぎてあっという間だった。

もっと近くにいたい。

話していたい。

なのに時間は過ぎ去っていく。

過ぎ去って欲しくない時ははやく感じるのに、

過ぎ去ってほしい時は長く感じる。

そんなの不平等だ。


怜央「ワガママいわないの！」

わたしの手を引きながらそう告げる。

A「嫌だもん！怜央くんと居たい」

何故か夕焼けに照らされながら普段は言えないようなことを口にする。

怜央「っ！！もう、ほら行くよ」

ついた先は観覧車。

A「え、乗るの？」

無言で腕を引っ張りのせられる。

お互いに向き合って座る。

A「れ、怜央くん？」

怜央「最後はゆっくり2人だけの時間過ごそうかなって思って笑」

照れくさそうに笑う怜央くん。

かっこいいし、なに？

確信犯でしょ？

A「たしかに、ふたりっきりだね」

さっきまで遊園地はあんなに賑わっていたというのに、まるでわたしたちだけの世界になったかのように静かに時がすぎる。


ふたりきりになったせいなのか、怜央くんへの想いが止まらなくなる。

A「怜央くんだいすき」

少し下を向いて伝える。

はずかしい。

怜央「なんでした向いてんの笑」

こっちむけーといいながら笑う。

ずっとふたりきりだったらいいのに。

このまま時が止まってしまえば、ずっとそばにいられるのに。

そんなくだらない考えが頭をよぎる。

A「恥ずかしいからだよ…」

怜央「かわいいこというなよ、ばか」


甘酸っぱい空間が広がる。

なんかお互いに恥ずかしくなって黙ってしまう。

わたしは思い出した伝説を話そうと口を開く。

今更言っても遅いだろうけど…

A「怜央くん、観覧車でね」

怜央「うん？」

A「カップルが……」


怜央くんがわたしの前へと来てキスを落とす。


頂上になるまであと数秒。

怜央「カップルが？」

続きを強要する。

A「直接でキスするとね、んっ」

またもや口を塞がれて言葉をなくす。

いつもより長く感じる。

なぜだろうか。

観覧車の雰囲気か。


長い長いキスの末、口を離した怜央くんは

怜央「続きはなーに？」

A「もうしらない！」


最後までいう前にキスするとかずるい。

怜央くんは意地悪そうに笑う。


夕焼けの光を浴びる怜央くんは誰よりも輝いているんじゃないかと思う。


"_____観覧車の頂上でキスしたカップルは永遠に結ばれる_____"





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