ムラサキに染まって。

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あの後ばいばいをして、家に帰る。

永瀬くんとは少し距離をおこうと自分の中で決めた。

近くにいて話すと自分の気持ちがわからなくなる。

あの切なそうな表情。

笑ってくれた顔。

もっと知りたいと思ってしまう。

今日の手の暖かさと吹きかけられた息の暖かさが忘れられない。

ぎゅっと手を握りしめる。

なんて言ったらいいのだろう。

怜央くんとはまた違った手の感触。

怜央くんは華奢だ。

でも、永瀬くんはごつごつしてた。

見た目ヒョロいチャラい男なのに。

ちょっとまって。

わたしまた永瀬くんの事考えてる。

考えすぎだよ？

怜央くんでさっきいっぱいだったのに。

なんでまた出てくるの？


思わず怜央くんに電話をかける。

でも、一向に繋がらない。

お風呂かな。

しょうがない、後でかけ直すか。


そう思ってる矢先にすぐにスマホがなる。

相手は怜央くん。

A「もしもし」

怜央『どーした』

普段より少し低めに聞こえる怜央くんの声。

A「なんか声聞きたくなった」

こんなのただの言い訳。

永瀬くんのことを考えるのを逃れるために電話をかけた。

怜央くんと一緒にいれば考えなくてすむ。

怜央『なんだそれ笑』

かわいいなーと笑う。

やっぱり怜央くんと話すのは楽しい。

A「怜央くんの声落ち着く」

怜央『ねぇ今日どうした？』

A「どうもしません！」


おかしくなったのかな自分。

気持ちが傾く。

怜央くんのことだけ考えていたいのにチラつく永瀬くん。

怜央『明日早いからもう寝よ』

A「嫌。もう少しだけ」

わがままなお姫さんとかいって子守唄歌ってあげようか？とからかってくる。

相変わらず面白い。



怜央『明日からお昼どうする？』


A「あ、」


ふざけてたのに急にマジな声をしていう。


怜央『永瀬いないほうがいい？』


分かってるよ。

わたしが答えるべき言葉くらい。






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