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｢あっ、そう言えば。岸この前のお礼したいんだけどさ、お互いこれから忙しくなるししばらく無理そうだわ。｣
｢ん？この前？…あぁ！あれか！！やっぱいーよ、お礼なんて、笑｣
｢えっ、いや…、そう言われても…。｣
｢まぁ、ふつーに暇な時飯でも行こ！！ランチとかでも全然いーし！な？！笑｣
岸の笑顔はいつだって輝いて見えて好きだった。
今は？と、聞かれたら少し前の自分ならきっと…、
｢A？どうした…？｣
｢へっ？あぁ、いや。別に…。分かった。また今度ご飯行こ。｣
｢マジっすか！！よっしゃ！！！｣
｢そんな喜ぶ？笑｣
｢えっ？嬉しいじゃん！久しぶりだしゆっくり話してぇーじゃん！｣
｢ふふ、笑あっそ。笑とりあえず仕事が落ち着いたら行こ。｣
最寄り駅に間もなく着く事を知らせる車内アナウンス
二人で歩く帰り道
今日は前より岸が静かな気がした。
チラッと岸の方を見ると岸も私を見ていた
｢なに？｣
｢あ、いや…。なんか懐かしいな…って…｣
岸の声色が今までの無邪気なものから大人びて落ち着いた男の人という印象でドキッとした
それを悟られないように何にもなかったかのように振る舞う
｢…何それ、笑ついこないだも送ってくれたじゃん笑｣
｢あ…いや、そっ、そうだな笑はは、笑何言ってんだろ、俺。笑｣
えへへ、と首の後ろを掻きながら笑った
.
｢あのｯ！さぁ…。そのぉ…｢あれ？A？｣
｢あ、風磨。お帰り。今日泊まりじゃなかったっけ？｣
｢あっ、おぅ。てか、岸何でいんの…？｣
｢えっーと…。｣
｢今回の仕事のクライアントの企画部。んで、飲み会の後送ってくれた。家この近所なんだってさ。｣
｢ふーん。まぁ、ありがとな、岸。じゃーな。A帰るぞー。｣
岸は何か言いたげだったけど何も言わず風磨の後ろ姿を眺めていた。
｢じゃあね、今日もありがと。｣
｢おっ、おう。じゃあな。｣
岸は言った後、ただ呆然と何も言わずこの前みたいに手も振らず、なんの感情も読み取れない表情を最後に見せて帰って行った。
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作者名：み、 | 作成日時：2021年6月22日 7時
