misbehave (ページ35)

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チカについて行くと"滝川美玲"と名札があった

嘘じゃないんだ。

何があったのか、本当に岸と関係するのか、どんどんと再び黒い感情が湧き上がってくる。

中々病室の中に入る事ができなかった私を見てチカが声を掛けてくれた。
そのおかげで暗闇の底にいた私が少しだけ正気にもどれた気がした。

｢岸くん、居ないみたいだね、｣

ベットで眠っている美玲の側に岸の姿は無く、ふっ、と体の強ばりが和らいだ。

｢美玲、意識戻ってるのかな…、ただ寝てるだけ？｣

美玲は色んな機械に繋がれていて規則正しく静かに寝息をたてている。

｢…A、｣

後ろから私の名前を呼ぶ声がした。

｢岸…。｣

｢おぅ。美玲、今寝たとこなんだ…わりぃっ。｣

｢岸くんが謝ることじゃないよ！タイミングが悪かたったねっ！ね！？Aっ！｣

｢うん…。私達、ぼーっとしててお見舞いの花買ってくるのも忘れたし、また来るわ。じゃ、｣

｢ちょっ！じゃっ、じゃあね！岸くん！！また来るから！ちょっと！待ってってA！！｣

チカの制止を聞き流しながら岸の横を早足で通り過ぎる。

岸がどんな表情で私を見てるかなんて知らない、なんならもう、私を見てすらいないかもしれない…、

.

ｰ滝川さんって岸くんのことずっと好きだったらしいよ。

知らないよ。そんなの…そんなこと言われたって、、、私にどうしてほしかったの？

岸と付き合わなかったら、美玲のこんな噂聞かなくてすんだ？

岸とあんな風に付き合ってしまわなかったら、こんなにも自分のこの汚れて荒んでしまった感情を持たずにすんだ？

こんな思いするなら岸と付き合わなければよかった。

.

でも、やっぱり岸が好きだ。という感情を捨てることはできなかった…。