伯弐拾参頁─双ツノ黒ト 11─ ページ19
『でも驚きましたよ。貴方なら私に構わず夢野君を手にかけるかと』
「Qが生きてマフィアに居る限り、万一の安全装置である私の異能も必要でしょ?マフィアは私を殺せなくなる。合理的判断だよ」
『成程』
微かな風音と靴音、それによって生まれる床の軋む音。
なんとも静かな空間に、反論らしい反論が思い浮かばない太宰さんの低い音が混ざる。
私は取り敢えず短くそう返す。
内心では“本当にその為なのか?”と思ったが。
「マフィアが彼を殺すのは勝手だけどね。大損害を受けたマフィアと違って、探偵社の被害は国木田君が恥ずかしい台詞を連呼しただけで済んだから」
『えっ』
「社員に呪いが発動したのか、その後如何した?」
探偵社員にも呪いの被害者が出たことに中也さんが驚く。
地味に“手前も知らなかったのかよ”、みたいな目を向けられた気がするが、私が驚きの声を上げたのは呪いが発動していたことを知ったからではない。
「勿論、録画したけど」
彼の質問に対してケロッとした表情でそう答える太宰さん。
特に悪びれた様子もなく、国木田さんにとっては地獄にしかなりえない事を軽々と云いのけるそれは今も昔も変わっていない。
いや、今はそんな場合ではない。
私の心は懐かしさよりも断然悲しさの方が勝っているのだから。
「(探偵社にも太宰で苦労してる奴が居るな...Aは────)」
『私が頑張っていた間にそんな楽しそうな事があっただなんて......』
今にも崩れ落ちそうになるのを必死に堪える。
中也さんには現在進行形で軽蔑の視線を浴びせられている気がするが、そんなことを気にしていられるほど心の余裕が無かった。
あの国木田さんの、中々悪戯を仕掛ける隙を与えてくれない国木田さんの一生使えるかもしれない悪戯のネタ。
パソコンのパスワードを勝手に変える程度の軽いものであれば、仕掛けようと思えば幾らでも仕掛けられる。
しかしそれでは大した反応は期待出来ない。
そんな相手に対抗しうるものを得る機会を逃したのだ。
...あーあ、先刻中也さんに云った言葉を撤回して帰らせてもらおうかな。
こんな気分じゃ本当に足でまといになるだけ────
「もしこの任務が無事に終わったら、後でAにもその映像送ってあげるよ」
『ありがとうございます!頑張ります!』
前言撤回。
さっさと夢野君を拠点まで送り届けて、太宰さんからデータを譲り受けなければ!
「(...大丈夫かよ、探偵社)」
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煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» 了解です、合っていて良かったです(*^^*)承認しておきますね。最新パートまで読んでいただきありがとうございます!過去編共々頑張っていきます! (2019年6月15日 17時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 最新パートまで読ませていただきました!これからの有島ちゃんが楽しみです! (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 狼楼に直しときました…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» あ!あってます!直すの忘れてた…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» すみません、今「炎化狼」という名前の方の申請をもらっていたのですが、狼楼さんでしょうか?名前に狼とついていたので質問させていただきました。 (2019年6月15日 14時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2018年3月6日 7時