3話 ページ3
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「アーッット胡蝶さんその殺意をお止め下さい」
「えぇ?私は穏やかですよ?」
「溢れ出てます!殺意が!」
先程までの緊張感が一気に解ける。
(あー…この空気、好きだなぁ)
でも、それもこの病が悪化したら消えてしまうのだろうか。
(それは、ちょっとだけ、寂しい…かも。)
「…それで?どうして治らなくても良いなんて言ったんです?」
「えっと…そもそも、彼と両思いになることが難しいと思うんです。記憶的に。私まだ名前すら覚えられてない気がする。」
「それは無いと思いますけれど…」
「それに、そんな病で記憶が無くなっちゃうの嫌だから付き合って!っていうのは、違う気がして…」
「………そう、ですか…。」
これは半分本心だった。
だって、まだ私に会う度名前を思い出すまでに時間が掛かるし。
もう半分は…想いを伝えるのが怖いだけなんだ。
だって、どう考えても両思いじゃないし両思いにはなれなさそうだし。
(拒絶されるのが、怖い)
そんな私の後ろ向きな考えを察してなのか、胡蝶さんは具合が少しでも変化したらすぐ蝶屋敷に来るように、と伝え私を私の屋敷まで送ってくれた。
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作者名:九条桜 | 作成日時:2020年2月7日 2時